2015 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリン生合成系タンパクをマーカーとした口腔がんパーソナライズド光線力学療法
Project/Area Number |
25460680
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
長田 哲次 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60264058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 准教授 (10449069)
増本 一真 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50464136)
加藤 文度 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60204492)
小倉 俊一郎 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (90343160)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロトポルフィリンIX / 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者らは口腔がん組織内で産生されるプロトポルフィリンIX(PpIX)について研究を行ってきた。PpIXはアミノレブリン酸(ALA)の腫瘍組織内で代謝され、光増感物質であるPpIXが産生される。このPpIXの口腔癌での動態のを行った結果、まず、口腔がんを有する患者の口腔写真から、赤色蛍光が高頻度に観察されることが明らかになった。特に青色光照射方では偏光レンズで改良を加えルナどの改良を行い腫瘍塊全体から均質に赤色蛍光が見られるわけではなく、腫瘍塊の一部分のみに限局して見らることが明らかになった。加えて、がんではない増殖肉芽の一部にも赤色蛍光が観察されることもあった。これらの所見は、赤色蛍光ががん細胞のみの由来でない可能性を示唆している。また口腔がん患者の切除がん組織断端に約40%の頻度で青色光照射により赤色蛍光が見られることが明らかとなった。これは組織内でALAが代謝を受けた結果とも考えられる。がん細胞ではヘム生合成経路に存在するトランスポーターや酵素活性が低下しているため中間代謝産物であるポルフィリンが蓄積されやすい性質に変化しているからである。一方、採取された組織内の定量分析を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって解析を行ったが思ったより組織内量が少なく明確な関連タンパクの類型化は今後の検討事項である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔癌患者からの試料採取が予想より進まなかった為、研究の進捗はやや遅れているが、上記のように蛍光の発現口腔癌に独自の特徴ある所見を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は確実に資料の蓄積を進めるとともに、赤色蛍光を発するがん患者の病理組織学的特徴や発生母体(舌、歯肉、口底や頬粘膜)との関連を検索していく.上記のような赤色蛍光の分布に特徴があるため、偏在する理由について検討を加えていく。蛍光反応のバイアスとして考えられるのが口腔内細菌叢である。歯周病の代表的な菌にPorphyromonas gingivalisがあるが、これらの菌体にはポルフィリンが含まれているため蛍光色を呈する。今後はこれらの蛍光の由来を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
本研究は口腔がん患者から採取された検体を元に様々な分析を行っている。初年度と次年度において得られた件対数が少なく十分な結果を得ることが出来なかった。さらに口腔内の蛍光撮影においては精度を記するために撮影方法に改良が必要であった。これらの理由から研究全体の遅延が生じた。27年度は比較的検体採取が順調に進んだが、年度後半に集中したためそれらの解析が27年度内に終了できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ストック分の解析を急ぎ、ポルフィリン生合成関連タンパク質の発現パターンを類型化し、がんの組織型、分化度、発生母体との相関を明らかにし、その結果、PpIX濃度が高く、ALA-PDTへの感受性の高い口腔粘膜扁平上皮癌の特徴を抽出する。従って28年度は採取した組織に含まれるタンパクやmRNAを抽出解析するための一連の試薬、及び採取した組織から腫瘍細胞を分離、増殖・継代を行うのに必要な試薬が必要である。また研究成果について学会発表を行い社会や国民に情報を発信する。この研究成果を英文専門誌に報告するための謝金(英語論文の校閲)やその他の経費(投稿料)も計上した。
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