2013 Fiscal Year Research-status Report
進化分子工学を基盤とする新規な「抗体様」臨床検査薬の創製と応用
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25460709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 いずみ 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (20299085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 典裕 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (90205477)
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80572966)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 進化分子工学 |
Research Abstract |
まず野生型stavにT76RとV125Rの部位特異的変異を加え、単量体化を試みた。これらの変異がコードされ、3'末端にFLAGタグの配列が付加された変異型stav遺伝子を、合成オリゴDNAのoverlap extension PCRにより構築した。これを大腸菌内で発現させて、得られた変異型stavタンパク質をSDS-PAGEに付した。POD標識抗FLAG抗体をプローブとする Western Blottingを行ったところ、単量体stavとほぼ同じ分子サイズを示すバンドが認められた。さらに、サイズ排除型カラムを装着したHPLCにおいても単量体stavと同程度の分子量(約 13,700)をもつribonucleaseAと同等の保持時間を示し、単量体化に成功したことが示された。本変異型stavのビオチンに対する結合能を競合型ELISAによって調べた。野生型stavを用いた場合、50% 結合阻害に要するビオチン量は40 pg で、ビオチンに対して十分な結合能が認められたが、変異型では1 μgのビオチンを加えてもほとんど阻害がみられず、単量体化によりビオチンに対する親和力が大幅に低下したものと考えられた。引き続き、ターゲット分子として卵胞ホルモンであるエストラジオール(E2)を取り上げ、stavとの in silico 分子モデリングを行ったところ、E2はstavの 8つのβシートのうちβ5とβ6の一部、そしてβ1-β2間、β3-β4間とβ5-β6間の3ヵ所のループが主にE2分子と接触することが示唆された。そこで、これら3つのループのうち1つについて、連続する3つのアミノ酸残基にランダム変異を加えた3種の遺伝子ライブラリーを設計した。現在、E2結合能を獲得した変異体の単離を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画として挙げていた、stavが4量体化する際にキーになるアミノ酸を部位特異的に変換することで、stav単量体の遺伝子をクローニングし、目的の変異型stav遺伝子の調製を行った。この変異型stav遺伝子を大腸菌に発現させて、その産物の分子量をSDS-PAGE で確認を行い、単量体化に成功したことが示された。また、ビオチン結合能をELISA で調べたところ、単量体化によりビオチンに対する親和力が大幅に低下したものと考えられたが、本研究には問題とならない。引き続き、in silico 分子モデリングにより stav単量体と低分子マーカーとのドッキングモデルを作製したところ、3ヶ所のループにE2分子が接触することが予想されたので、これらループにランダム変異を組込んだ遺伝子ライブラリーの設計を行った。以上のように,1年目はほぼ期待どおりの成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後、平成25年度に設計を行った遺伝子ライブラリーの構築を行う予定である。変異の導入には様々な戦略が考えられるが、例えば、ループを構成するアミノ酸のうち、連続する3つの残基にランダム変異を導入した遺伝子 [1番目と2番目のβシートの間のループ (L1-2; 5つのアミノ酸から成る) の場合、3種類できる] を作製して混合する。これを、L3-4、L5-6のループについても同様に行い、多様性に富む遺伝子ライブラリーを作製する。上記の遺伝子ライブラリーをファージ提示する。得られた変異stav提示ファージのライブラリーから、目標の低分子マーカーに特異的なクローンを探索する。通常、目的のリガンドを固定化したチューブやマイクロウェルにファージの集団を反応させ、目的のクローンを選択的に固相に結合させる。その後、酸や塩基を加えて結合反応を解離させてクローンを回収するが、高親和力のファージでは必ずしも十分な回収率が得られない。この点を克服するために、申請者の研究室では、先に、ハプテンとペプチドタグをトリプシン切断部を含むリンカーを介して連結した化合物をキー試薬に用い、結合反応の解離に依存しない選択法を開発した。本研究でもこの方法を活用する予定である。
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