2013 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣のCKDに及ぼす影響ー酸化ストレス、メンタルストレス、DNA損傷との関連
Project/Area Number |
25460753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 陵平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00533853)
祖父江 友孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50270674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛋白尿 / シフトワーク / 深夜業務 |
Research Abstract |
2006年4月~2011年3月に大阪大学保健センターで実施された大阪大学職員の職員健診データを利用し、疫学的手法を用いて、生活習慣およびshift workの尿蛋白の発症予測能を評価した。2006~2010年度に大阪大学保健センターで健診を受診した20~65歳の大学職員12037例のうち、初回健診受診時に蛋白尿≦±かつeGFR≧60mL/分/1.73m2であり、2011年度末までに計2回以上健診を受診した7922例を予備解析の対象とした。初回健診受診時の1月あたりの深夜業務(22-5時)の回数と性別以外の臨床所見の間には、臨床的に意味のあると考えられる関連は認められなかった。蛋白尿(尿蛋白≧1+)を発症するまでの時間をアウトカムとし、深夜業務頻度のアウトカム予測能をCox比例ハザードモデルを用いて評価した。平均観察期間2.9(範囲0.6-5.5)年の間に716例(9.0%)の蛋白尿の発症が認められた。女性では、深夜業務1-9日/月が蛋白尿の発症予測因子であったが、男性では深夜業務頻度と蛋白尿の関連は認められなかった。 男性と女性における深夜業務頻度の蛋白尿の発症予測能の違いが性差のみに起因するのか、あるいは職種等の等の他の因子による交絡が依存するかを、疫学的手法を用いてさらに詳細に検討する目的で、それを系統的且つ効率的に行うためにコンピュータプログラムが必要である。深夜業務頻度と蛋白尿の関連性が強い集団の臨床的特徴を明らかにし、その後nested case-control designを用いて、深夜業務に対する高感受性群の中から、蛋白尿発症例(case)と非発症例(control)を無作為に抽出するプログラムを開発することとし、現在これに注力しているところである。プログラムは近々の完成が見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深夜業務と蛋白尿の関連についての基本的な解析により、その有意な関連が明らかとなった。現在その知見を深め、深夜業務による蛋白尿発現の高感度群を同定するために、case-controlの無作為抽出を効率的に行うソフトウエアの開発を進めている。これに予定より時間を費やしているが、近々に完成予定となっている。ソフトウエア完成後は、系統的かつ効率的に、case-contorolの抽出が可能となる。このプログラムは、本課題における高感度群の同定とその疫学的背景の解析を容易ならしめることは勿論のこと、今後の疫学研究においても極めて有力なツールとなることが予想され、良好な成果を得ているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
nested case-control designを用いて、深夜業務に対する高感受性群の中から、蛋白尿発症例(case)と非発症例(control)を無作為に抽出するプログラムを開発し、shift workによる蛋白尿発症の機序の解明の研究対象を選定する。上記の予備解析から女性を深夜業務に対する高感受性群であると判断し、女性3960例のうち蛋白尿を発症した389例をcaseとして1:1マッチングを行った場合、shift workによる蛋白尿発症の機序の解明の対象患者は778例である。現在開発中のソフトウエアによりこれを確定し、その疫学的解析を行う。また、それら対象者の保存血清を用いて血清メラトニン、コルチゾール、PAI-I等のshift workとの関連が報告されている物質を測定する。その成果を共同研究者のフィールドにも当てはめて、そちらにおいては、リンパ球のDNA損傷、詳細な睡眠の評価、リンパ球DNA損傷などの解析を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において、ソフトウエア開発が当初予定より時間を要した。これは、研究者の時間を要するが、既存の基本ソフトおよびコンピュータを用いており、経費を必要としない作業である。当初、このソフトウエアを用いてより詳細な解析を行う高感度群およびその適切な対照群の選定を行うこととしており、当該年度においては、ソフトウエアを用いたcase-control群の選定に至らなかったため、経費を必要とする解析を実施しなかった。このため、次年度使用額が生じることとなった。 次年度は、当該年度に実施予定であった各種測定を実施し、その成果を学会等で発表予定としており、当該年度に支出しなかった研究経費を使用する予定である。また、共同研究者のフィールドにおいても詳細な解析、測定を実施する予定としており、これにも研究経費を必要とする。そのため、こちらについても当初の予定に基づく研究経費使用が見込まれる。
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