2014 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクスを制御するガン予防に有効な機能性食品成分の探索
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25460781
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山ノ下 理 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10020794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食品 / ガン / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガン発生過程においてDNAのメチル化が遺伝子調節領域でおこり、ガン抑制遺伝子の発現が抑えられるといる。このDNAのメチル化は遺伝子産物GADD45aの発現により可逆的に脱メチル化を起こしガン抑制遺伝子の発現を再開させる。一般的にGADD45aの発現はDNAの損傷により引き起こされるが、DNAの損傷なしに発現させる食品成分に含まれていることが報告されている。以前の動物実験においてセレニウム化合物がGADD45aを発現させ、DNAメチル化の低下、腫瘍の数を減らすことが認められ、またガン細胞以前の良性腫瘍の段階で効果が認められたことから良性腫瘍段階でDNAの脱メチル化を引き起こす物質の探索及び発ガンの予防を計画した。良性腫瘍から悪性腫瘍を発生する多段階発ガンモデルマウスの良性腫瘍から初代培養細胞を作成し実験に使用した。脱メチル化はマウス発生の段階で起こる現象であるが、脱メチル化を引き起こす物質(セレニウム化合物)の良性腫瘍への曝露では発生段階で発現する脱メチル化関連酵素等が発現しておらず発生段階のそれとは異なっていた。GADD45a発現させる物質の多くは抗がん剤・重金属以外ではファイトケミカルが多いことからその中のテルペン類、フェノリック類から数種類選択し初代培養細胞に曝露しGADD45aの発現及びDNAの脱メチル化とガン抑制遺伝子の再発現化を測定したが各腫瘍によりメチル化している遺伝子が異なる場合があり、数回の継代で分裂がとまることから安定的な結果は得られておらず工夫を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
良性腫瘍の初代培養細胞を用いたGADD45aの発現を介した脱メチル化物質の検索において、解決しなくてはいけない問題点が多く、また安定的な結果を得るには良性腫瘍の初代培養細胞の使用は客観的な結果が得られない可能性が示された。悪性腫瘍に対してGADD45aの発現及び抗腫瘍作用を示す物質は良性腫瘍でも同様なことが認められる傾向があることから、エピジェネティクスを制御する機能性食品成分検索においては腫瘍培養細胞を用いて解明したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
セレニウム化合物はガンに対してよりも良性腫瘍でのGADD45aを介した脱メチル化及びガン予防等に効果が認められており、正常細胞から良性腫瘍へさらに悪性腫瘍となる多段階発ガンの立場をとる場合、良性腫瘍に対するDNA脱メチル化物質の検索はガンの予防という観点から有望である可能性が高い。しかしながら概要で示したとおり実験系が非常に不安定であることから実験系としては腫瘍細胞の使用が必要になる。今までの腫瘍細胞を用いた研究からGADD45aを発現する化学物質は非常に多く、抗がん剤・重金属なども含まれる。これら物質はDNAの傷害に伴うDNA修復の過程で発現すると思われる。これら物質を除くとGADD45aを発現するが脱メチル化する物質としない物質に分けられるがその分岐点は未解析である。セレニウム化合物は前者に当たり、ファイトケミカルにもその様な作用をする物質はあるが全くその作用を示さない物質が多く、その違いを明らかにすることがエピジェネティクスを制御する機能性食品成分検索に重要であると考える。
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Causes of Carryover |
実験用消耗品の納入が遅れ、次年度となってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度納入消耗品費用に使用する。また、今年度は、脱メチル化定量解析等を予定しているため、順次その費用に使用予定である。
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