認知症および周辺症状(BPSD)の発生要因に関する高齢者コホート研究

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25460800
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Tottori University
• Principal Investigator: 尾崎 米厚 鳥取大学, 医学部, 教授 (00224212)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 高齢者 / 認知症 / 周辺症状 / 疫学 / コホート研究

Research Abstract

コホート研究準備のためのデータの整理を行った。コホート研究のベースラインとして、鳥取県伯耆町の旧岸本町において2001年から2006年に65歳以上で要介護状態にない高齢者を対象に行った記名式アンケート調査の結果および旧溝口町の同様の高齢者に2005-6年に行ったアンケート調査の結果を整理した。岸本町1284人、溝口町1273人、合計2558人のデータを整理した。調査内容は、基本属性、閉じこもり尺度、日常生活動作、老研式活動能力指標、視力・聴力障害、身体の痛み、尿漏れ、物忘れの自覚、咀嚼力、転倒経験、喫煙状況、主観的健康度、生きがい、趣味・楽しみ、友達の有無、家族内役割、社会活動参加状況であった。2005-6年については基本健康診査の受診の有無と検査結果および問診項目、がん検診の受診の有無もデータ化し連結した。本年は2008年8月末までのエンドポイントの確認を行いデータセットを整理した。追跡のエンドポイントは、複数設定し、転出、死亡、要介護状態の発生とし、それぞれの発生の有無と発生日時を調べた。要介護状態は、主な理由、介護度を調べた。介護度や主な理由が途中で変化した場合も把握した。要介護状態発生の主な理由の中から認知症による要介護状態の発生を特定した。追跡期間が長い岸本町分のデータを用いて認知症による要介護状態の発生をエンドポイントとするCoxの比例ハザードモデルによる解析を実施した。この間、死亡、要介護状態、認知症による要介護状態の発生はそれぞれ131人、218人、81人確認された。認知症による要介護状態発生の危険因子として、ベースライン時での喫煙あり、書類が書けない、趣味・楽しみがない、2001年の基本健康診査が未受診であった。すべての理由の要介護状態発生をエンドポイントにする解析だと性、年齢、外出頻度が関連要因となったが、認知症をエンドポイントにすると関連がなくなった。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ベースラインおよびその後の継続アンケート調査の結果を整理し、基本健康診査およびがん検診の受診の有無など、それぞれが別になっている膨大なデータを整理し、追跡の承諾の得られた対象者のデータリンケージを行って、データセットを作製した。また、追跡期間前半のエンドポイントの確認も行い、データセットに情報を追加した。さらに予備解析として、追跡期間が長い岸本町分のデータの解析を実施し、解析に耐えうる対象者数とイベント数であることも確認できた。そのため初年度としては、順調に研究が進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の実施方法について、町役場の担当者との打ち合わせを行った。今後はエンドポイントの確認期間を延ばし、この間発生した死亡、要介護状態、認知症による要介護状態の発生を確認する。認知症の周辺症状（BPSD）についての尺度をレビューし、保健師、福祉従事者による判断が可能な簡便な尺度を作成する。作業の進行状況をにより2014年または2015年のある時点で町内において認知症による要介護状態である人が周辺症状（BPSD)を持っているかどうか、その重症度を保健福祉関係者に判断してもらい、コホート内症例対照研究あるいはコホート研究のデザインを用いて結果を解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

後半支出した、旅費および消耗品費が概算時より実際は安かったため。
購入予定であった消耗品費として支出したいと考えています。