2013 Fiscal Year Research-status Report
診療進捗管理および診療評価システムの開発についての研究
Project/Area Number |
25460837
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤田 伸輔 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20268551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 美亜 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (00327660)
宮本 正喜 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50200209)
高林 克日己 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (90188079)
土井 俊祐 千葉大学, 医学部附属病院, 寄付研究部門教員 (90639072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DPCデータ解析 / 医療の質判定 / ビッグデータ |
Research Abstract |
千葉大学の医事会計システムから平成24年1年間分のレセプトデータ(様式1、D/EFファイルを抽出し、これを患者毎に整理しなおした。 【研究方法】平成24年4月分から平成25年3月分まで1年間のレセプトデータを対象とした。1)レセプトデータの様式1から入院データファイルを作成した。様式1の統括診療情報番号により、連続した入院と、3日以内の再入院を取り出し、再入院データを元の入院と併合し、1年分の入院毎のレコードを作成し入院データファイルとした。2)DファイルからD統合ファイルを作成した。1年分のDファイルを統合し、一連の入院が1レコードとなるようにつなぎ直した。DPCコードは最初のものと最終のものを取り出した。3)EFファイルの手術処置にフラグを立てた。Kコードに対して手術処置フラグを立てた。4)D統合ファイルをもとに診療行為データファイルを作成した。D統合ファイルとEFファイルを統合し診療行為データファイルを作成した。この際入院からの経過日数を各診療行為に付加した。5)診療行為データファイルに術後日数を記載した。入院データファイルと診療行為データファイルから診療行為データファイルの各診療行為を初回手術からの経過日数(手術前についてはマイナスとした)を記載した。6)得られた診療行為データファイルをデータキューブとして解析を試行した。 【結果】iCore7プロセッサ、RAM8MBのパソコンに64ビットWindows8をインストールした環境でSASにてデータキューブを作成しえた。しかしOLAP操作に入ろうとするとたびたびフリーズしてしまった。メモリー不足が原因と思われ今年度は病院業務用サーバのSASを用いて解析した。この際原因追及と対策に時間を要した。多施設の複数年データを解析することについては今後の研究によってその限界を確かめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり、1年分のDPCデータをデータキューブにして解析しようとすると予想外にメモリを消費し、動作が不安定となった。その原因解明と対策に時間を要したため十分な解析時間を取れなかった。大学病院のSASサーバを借用することが出来たので、予定していた解析はほぼ達成できた。DPCデータは千葉大学1年分だけで約5Gバイトとなった。今年度は大学病院のSASサーバを使うことで問題を回避したが、他大学のデータを大学のサーバに格納して解析するには規定上の幾つかの問題が残っている。従って来年度以降の研究についてはビッグデータの取り扱い手法の改良を含めて検討が必要な状態である。今年度解析する項目毎にデータ作成し直し、データ量を減らして解析した。繰り返しデータ作成するため解析に予想外の時間を要したが千葉大学のデータについては、ほぼ予定通りの解析を実施した。また平成26年度に予定していた解析手法を幾つか試すことも出来たため、全研究計画としては概ね目標を達成したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は他施設データとの比較にすすみたい。この際の課題はビッグデータの取り扱いである。サーバ上で解析し得たので、研究上の支障は主としてメモリー量と計算能力の問題である。そこでサーバでの解析とパソコンのスペック向上で解決していく。 多施設多年度データキューブの解析では平成25年度に行った解析を再現し、年次推移、施設差を明確にしたい。また25年度の研究成果を通して併発あるいは続発病名の解析、定型プロセスからの逸脱の検出など興味深い解析手法のヒントを得たので、これらを検討する。 続発病名の解析とは、病名の発生順序についての研究である。例えば術後肺炎の発生頻度は手術の種類によってどの程度差があるのか、呼吸リハや口腔ケアなどの導入によってどの程度低下するのか、あるいはICU入室との関係、抗生剤の種類と投与開始時期、投与日数、などの関係を調べたい。 定型プロセスからの逸脱の検出は、パスのバリアンス登録によらず、投入された医療資源とその時期によって行う物で医療の質管理を容易にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に使用しているパソコン上で1年分のレセファイルを扱うことが困難であった。当初解析処理の定型的手法を確立し、人材を雇用して様々な解析をする予定であったが、全て研究者が自らが全ての処理を行わねばならなかった。研究計画の遅れについては研究者のエフォートを予定より多く投入することで千葉大学のレセプトについては、ほぼ計画通りの成果を上げることができた。しかし多施設の解析には至ることができなかった。 サーバでの解析によって必要なメモリー量については目処が立ったので、26年度の研究については、解析環境の改善(パソコンのパワーアップおよびサーバの活用)よって、人材を雇用して多施設多年度の解析を効率的に進めたい。 即ち今年度の残額は解析環境の改善と当初計画での人件費への積み増しとして研究を促進したい。
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