2013 Fiscal Year Research-status Report
病院患者図書館を中心とした次世代型患者情報サービスの研究
Project/Area Number |
25460839
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
前田 稔 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20376841)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 病院患者図書館 / 病院・医療管理学 / 図書館 / 読書環境 |
Research Abstract |
今や、院内の患者情報サービス拠点としての「病院患者図書館」が増えつつある。図書を通じ、患者自身が疾患の情報を得、学ぶことで、スムーズな治療や医師との信頼関係など二次的産物をもたらし、セカンド・オピニオンの役割も果たすと期待されている。 本研究は、およそ5年ごとに行われてきたこれまでの全国動向調査を継続し、更に大きな枠組みで医療全体に及ぼす影響や可能性を研究・提案し、次世代の社会に貢献することを目的としている。 前回の動向調査(2007年に実施)において、全国約5400病院へ往復はがきによるアンケート調査を行った。2007年度の全国調査では175施設にすでに設置され、191病院が設置検討中という結果が得られている。書物も多種多様化し、一般書から娯楽書、医学専門書に及んでいた。その後に継続的に行っている実地調査では、都市部の数多くの病院で病院患者図書館が開設され、また地方でも新設病院の多くで設置されていることがわかった。 この調査から5年たった現在、全国的な調査を継続的に行うべく、2012年度末に、前回と同じく全国約5400病院へ往復はがきによるアンケート調査用紙を送付したものについて、2013年度に集計作業を逐次行った。現在のところ2216カ所からの返送を得ている。 また、返送されたアンケートを基に、実地調査を京都府と沖縄県において行った。特に沖縄県では、調査した3病院ともに、司書のかたを中心に、活発な活動を行っており、患者に対する読書サービスへの意識が極めて高いことが判明した。そのうち1カ所では、患者向けの図書館のほかに、医療従事者向けの図書館を患者に対して開放している現状を調査することができ、医師や医療施設の存在と患者との距離感や信頼感と観点から、患者の満足度が高くなる要因として、病院患者図書館の寄与を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の病院を対象としたアンケートの集計が順調に推移した。 アンケート集計を基礎にした実地調査を行うことで、病院における管理と患者の満足度の関係性を調査することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・全国の病院を対象としたアンケート調査の集計結果を公表する。 ・図書を通じた感染の可能性について、調査を行う。 ・院内学級におけるタブレットパソコンを通じた取り組みについて調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究チーム全体での調査旅費については、個別の調査になったため、支出額が予定額よりも大幅に減少した。 アンケート調査に関して、前年度までに送付を行った量的調査部分の、今年度における集計作業が終了したのちに、質的な調査に移行して、調査票を送付する予定であったが、集計作業の細部の調整に手間取り、次年度に持ち越すこととなった。また、未到着分についての再度の依頼については、すでに4割強の返信率があったため、行わないことにした。 平成26年度については、平成25年度に行えなかった、関東に分散している研究チーム全体での検討会合を開催する予定である。 アンケート集計の結果、紙による感染例の報告があったため、それぞれの病院に対して詳細な調査を行う。
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