2013 Fiscal Year Research-status Report
第三者評価に基づく緩和ケアの質の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
25460856
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前田 幸宏 日本大学, 医学部, 助手 (10287641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅里 良正 日本大学, 医学部, 准教授 (60213485)
小野 充一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80409698)
大園 康文 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (80615518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療の質 / 病院機能評価 / 緩和ケア |
Research Abstract |
本研究の目的は、第三者評価の評価手法の課題(病院機能評価の現状の課題)、および、緩和ケアの質の評価手法の課題を検討することにより、継続的な質改善の仕組みを明らかにすることである。初年度の検討結果の概要は以下のとおりである。 1.第三者評価の評価手法に関する情報収集。公益財団法人日本医療機能評価機構が実施している第三者評価「病院機能評価」の本体審査、および通常の審査とは別に緩和ケア機能だけに特化して行われている「付加機能評価 (緩和ケア機能)」の評価項目および評価手法についての情報収集と検討を行った。これらの審査では、評価項目に基づく判定の仕組みを基に、ケアプロセス重視の審査、カンファレンス形式の審査方法の取り入れ、受審側との意見交換重視の審査方法に発展してきている。これらの改善は、審査の実効性および受審の満足度の向上に有効と考えられる。 2. 緩和ケアの質の評価に関する情報収集。特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会では、緩和ケアの質向上のために、自施設評価システムの導入に向けた検討を続けている。病院外部から依頼された調査である「自施設評価」をきっかけとして、緩和ケア病棟内でのカンファレンスによる情報共有と自主的改善活動の促進を組み合わせる取り組みは、継続的効果的な質改善の効果が期待できるものであり、外部評価の手法の活用策のひとつとして有効と考えられる。 3.医療の質向上に向けた継続的取り組み事例調査。A大学病院は病院機能評価(第三者評価)を継続的に受審しており、病院機能評価の受審を契機にさまざまな取り組みが進展し、自院の質改善に寄与したとされている。第三者評価の意義と効果として重要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、第三者評価の評価手法の課題(病院機能評価の現状の課題)、および、緩和ケアの質の評価手法の課題を検討することにより、継続的な質改善の仕組みを明らかにすることである。これまでのところ、おおむね当初計画にそって情報収集および検討を進めることができている。病院機能評価および日本ホスピス緩和ケア協会の自施設調査活動などについては、現時点での概要は、おおむね把握することができたと考える。また、日本病院・医療管理学会、日本緩和医療学会、日本医療情報学会など、本研究に関連する学会等からの情報収集や事例把握もおおむね有益に進めることができたと考える。検討内容の整理はまだ不十分であるが、今後の計画の中で対応可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制は初年度の体制を継続するが、必要に応じて研究協力者の確保や協力施設の確保等、研究体制の調整を行う。計画の概要についての大きな変更はない。今後の研究内容については、初年度の検討結果を踏まえ、病院機能評価およびISO9001認証を中心に、第三者評価手法や緩和ケアの質の評価手法等に関する情報収集を引き続き実施する。また、自己評価、自施設評価、外部評価など、評価手法の種類による課題等について整理し、質改善効果を把握するための調査方法を検討する。前述の情報収集結果などを踏まえ、緩和ケア領域等における継続的な質改善を促すために有効な仕組みのあり方についても検討する。医療の質の改善に向けた取り組みは、各医療機関の中で常に行われており、それらの先進事例を把握し、現状を踏まえた検討が本研究の基礎となる。引き続き、関連学会や研究会などを通じ、医療の質向上に向けた取り組みの事例について情報を収集し、他施設への適用に向けた課題について検討する。また、診療報酬改定にともなう緩和ケア病棟の誘導策などは今後も引き続き進められると考えられ、大きな制度改定の可能性も考えられる。これらの事項を踏まえ、最終年度に向けた研究計画を策定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会や研究会等での情報収集を目的とする国内出張に要した費用が当初予定よりも少なかったため、次年度への繰り越しが生じた。 今年度は情報収集と分析検討を拡充する予定であり、その費用として使用する計画である。また、その一環として、緩和ケア施設に対する試行調査を検討しており、その実施費用として使用する予定である。
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