2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460885
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
斎藤 尚宏 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20534168)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / BPSD / 無為 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症に伴う行動異常や精神症状(BSPD; Behavioral and psychological symptoms of dementia)は、患者や介護者の生活の質(QoL; Quality of life)を著しく損なうことが知られている。BSPDの中でも「無為」は自発的な発話、運動、思考、感情的反応の減少として高い頻度で観察されるが、未だ評価法や治療法が確立されていない。近年、「無為」を引き起こす心理的要因として、「抑うつ(depression)」「意欲低下(apathy)」「幸福感の喪失(anhedonia)」「失感情症(alexithymia)」の関与が明らかにされつつある。パーキンソン病では「抑うつ」を伴わない「意欲低下」や「幸福感の喪失」が生じることが知られており、これら4つの要因の神経機構が異なる可能性が示唆されている。しかし、アルツハイマー病を始めとする他の認知症疾患で「無為」に関する多軸評価での検討はほとんどなく、こうした観点からの「無為」の質的な疾患特異性を調べた研究はない。本研究では、認知症患者を対象に、これら4つの要因がどのような認知機能や身体機能と関連があるか、また疾患特異性が存在するのかを質問紙を用いて調べ検討した。パーキンソン病患者では、「抑うつ」(BDI-II)と全般性認知機能(MMSE)および身体機能(歩行速度)との間に有意な相関は認められなかった。他の疾患については現在解析中である。認知症疾患における「無為」の要因として、疾患特異性を明らかにすることで、「無為」の質およびそれを支える神経基盤の相違が明らかになると考えられる。
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Research Products
(3 results)