2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 潤 東北大学, 大学病院, 講師 (00375081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 宏明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00235681)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 冠攣縮性狭心症 / Rhoキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度において末梢白血球Rhoキナーゼ活性のVSA患者における長期予後予測能についてさらに検討を重ねた。Rhoキナーゼ活性はその基質であるミオシン結合サブユニット(MBS)の総量に対するリン酸化比で定義し、胸痛を主訴に冠攣縮誘発試験を施行した連続224例において、心臓カテーテル検査施行時にRhoキナーゼ活性を測定した。VSA群(n=174)では、胸痛症候群(n=50)に比べ、有意にRhoキナーゼ活性が亢進していた(1.20±0.33 vs. 1.07±0.22, P<0.01)。最終年度の追跡を含め、平均16ヶ月の観察期間中に、VSA群10例(5.7%)で複合心イベントを認め、胸痛症候群では認めなかった。VSA群をRhoキナーゼ活性の中央値で2群に分類すると、高値群(p-MBS/t-MBS ≧1.20)は低値群や胸痛症候群と比較し有意にイベント発生率が高かった(P<0.05) 。多変量解析ではRhoキナーゼ活性1.24以上が独立した予後規定因子であり(P<0.05)、既知のVSAリスク層別化スコア(JCSAリスクスコア)と併用すると予後予測能が有意に向上した(P<0.01)。VSA患者のRhoキナーゼ活性は長期予後予測に有用である可能性が示唆された。これらの結果は世界ではじめての所見であり、冠攣縮性狭心症患者の診療においてリスク層別化に役立ち、長期予後改善に寄与するものと思われる。現在これらの結果をまとめ、論文作成中である。
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