2013 Fiscal Year Research-status Report
拡張不全患者におけるカルニチン慢性投与が心機能・骨格筋機能に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
25461058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 一博 鳥取大学, 医学部, 教授 (90303966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅彦 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40362884)
衣笠 良治 鳥取大学, 医学部, 助教 (60598944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 拡張不全 / カルニチン |
Research Abstract |
本研究は、拡張不全の急性増悪により入院し、血中遊離カルニチン濃度が40 micromoles/L以下に低下、あるいはアシルカルニチン/遊離カルニチン比が0.4以上を呈する、つまりカルニチン欠乏の基準を満たす患者を対象にカルニチン300~600 mg/日の慢性投与を行い1年間の経過を追跡し、左室拡張機能、運動耐容能、骨格筋機能、バイオマーカーなどに及ぼす影響を検討することを目的とする。本研究者は、カルニチンが拡張不全に対して有効性を示すメカニズムとしてプロスタサイクリンの産生促進による心筋線維化抑制を実験的には示したが、本研究ではその臨床的検証を行うと同時に、実験的には検討しえなかった骨格筋への効果も含め他のメカニズムの可能性についても検討を行う。 平成25年度(初年度)は、本研究計画の計画書を作成の上、当院倫理審査委員会において承認を受けた。また本研究計画をUMIN上にも登録を行った(UMIN ID: UMIN000011905)。 対象症例を抽出するために、心不全急性増悪で入院した患者さんの中で承諾を得られた人全員において血中カルニチン濃度を測定しており、まずはカルニチン欠乏の患者と欠乏を認めない患者において背景因子を検討した。すると、カルニチン欠乏の患者は血圧が高く、腎機能がより障害されており、血中BNP値がより高値である、という特徴を有していることが明らかとなった。これは拡張不全患者の特徴に類似している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例登録数が計画通りには入っていないことから、当初の計画よりも進捗が遅れていると判断している。高齢患者が本研究の対象条件を満たすことが多いが、認知症などの関係もあり退院後の当院までの通院が困難な患者の割合が例年より高くなっており、症例登録に至った患者数が少なくなってしまった。さらに、今回の研究では骨格筋の筋力など運動能の評価が項目として入っているが、膝関節症など心不全とは直接的な関係のない併存疾患の影響が計測データに影響を与えると考えられる患者が、想定以上に多かった点も挙げられる。 さらには、当初はカルニチン投与前後での比較を行う予定であったが、やはり対象患者をカルニチン投与群と非投与群に分けて検討するほうが望ましいと考えたため、研究に必要とする症例数が増加していることも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
全患者で全データを収集することは考えず、対象要件を満たす患者において実施可能な評価を行ってデータ収集を諮る。これに伴い、研究に組み入れる症例数を予定より増加させ、各評価項目においてできるだけ予定していたデータ数を得るように努める。
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