2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS心筋細胞を用いた遺伝性不整脈疾患の新たな機序の解明と治療への応用
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25461117
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村田 光繁 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30317135)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 心筋細胞 / 不整脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、抗不整脈薬のイオンチャネルに対する効果を検討した。抗不整脈薬はチャネルの様々な部位に直接作用することによりチャネルの電気生理学的特性を変化させその効果を発揮するが、抗不整脈薬の中にはチャネルに対する直接作用だけでなく、チャネル遺伝子発現、翻訳後修飾などを調節することによる慢性効果を有するのではないかと考えられるものがある。特にアミオダロンやベプリジルは、Na+チャネル、Ca2+チャネル、遅延整流K+電流(IKs, IKr)、ATP感受性K+電流など多くのチャネルの電気生理学的特性を修飾することが知られている一方で不整脈によるイオンチャネルのリモデリングを抑制する効果を有していることが知られている。そこで、ヒトiPS心筋細胞にこれらの薬剤を投与することにより、イオンチャネル遺伝子発現がどのように変化しうるかを検討した。ES細胞と同様な多能性、分化増殖能を備えていることを確認済したヒトiPS細胞株を用いて実験を行った。未分化iPS細胞、アミオダロンおよびベプリジル1μM, 10μMおよびDMSOを一週間投与したEBからmRNAを抽出し、QT-PCRを施行した。解析遺伝子は、SCN5A, CACNA1, KCNJ2, KCNQ1, CACNA1G, HCN4, Nkx2.5, GAPDHとし、GAPDH発現量との比率で比較検討した。結果、未分化iPS群においてSCN5A, CACNA1G, HCN4は既に発現していた。アミオダロン投与群では、ヒトiPS心筋細胞が脆弱となり十分なmRNAの採取が困難であった。一方、ベプリジル投与群では、SCN5A, CACNA1, CACNA1G, HCN4の発現量はベプリジルの濃度依存的にDMSO群と比較し増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベプリジルについてはデータがでつつあるが、アミオダロン群では解析が思うように進んでいない。今後、濃度や投与期間などの調整が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ベプリジルやアミオダロンの濃度や投与期間を調整し、チャネル遺伝子発現の変化を引き続き検討する。また、疾患iPS由来心筋細胞に対しこれらの薬剤が健常ヒトiPS心筋細胞と同様な変化を示すかを確認する。
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Causes of Carryover |
PC機器などの備品を購入予定であったが、解析が当該年度末になったため来年度に購入することにしたため。また、培養液などの消耗品を他の研究費から支出することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PC機器の購入を行す。また、学会や論文発表を行うための支出に使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Generation and characterization of functional cardiomyocytes derived from hyman T cell-derived induced pluripotent stem cells.2014
Author(s)
Seki T, Yuasa S, Kusumoto D, Kunitomi A, Saito Y, Tohyama S, Yae K, Kishino Y, Okada M, Hashimoto H, Takei M, Egashira T, Kodaira M, Kuroda Y, Tanaka A, Okata S, Suzuki T, Murata M, Fujita J, Fukuda K.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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