2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心臓幹細胞からの心筋分化誘導法の樹立~心疾患テーラーメイド医療へのシナリオ~
Project/Area Number |
25461118
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
細田 徹 東海大学, 創造科学技術研究機構, 准教授 (50608601)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心臓幹細胞 / 体性幹細胞 / 心筋分化誘導 / 再生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
c-kit陽性ヒト心臓幹細胞(CSC)は、分裂・分化して心筋や冠血管を再生し、器官の恒常性を維持している。本研究は、CSCの心筋分化誘導法の確立を目標とした。成功すれば、テーラーメイド医療の実現や新規薬剤開発、心筋発生・分化のメカニズム研究等、多方面での応用と発展が見込まれる。 まず、成人の開心術時に切離される組織からCSCを単離・培養した。初期の試みとして、転写因子等の遺伝子発現調節によらずに、少数の生理活性物質を作用させて心筋の生成を目指した。先行研究を参考に、マトリゲル上での培養や、心臓発生に重要な因子として、Wntシグナルの抑制、アスコルビン酸による刺激、Nodal及びBMPシグナルの抑制、レチノイン酸の抑制、トリヨードサイロニンによる刺激といった、分化誘導効果が期待される諸条件を、種々の組み合わせでCSCに作用させた。細胞の拍動の有無を心筋分化の指標とした他、定量的RT-PCRにより心筋に特異的な遺伝子の発現を解析したが、上記の条件では分化誘導は達成されなかった。 方針を転換し、ヒトiPS細胞を陽性コントロールとして、既存の分化条件を試みたところ、細胞の拍動が観察された。分化誘導されたiPS細胞は、CSCに比して多様な細胞を含み、それらの分泌因子が心筋分化に重要である可能性が想定された。そこで、CSCとiPS細胞を、ポアサイズ0.4マイクロメートルのトランスウェルで仕切って共培養しつつ、分化誘導を施した。すると、iPS細胞には14日目から、CSCには30日目から拍動細胞塊が現れ、少なくとも2週間以上持続した。 CSCは、他の細胞と比較して純度と未分化度が高いために、これまでin vitroでの分化誘導は難しいと考えられていたが、今回初めて拍動細胞を得ることに成功した。更に、この分化過程で作用している因子を突き止められれば、高効率な心筋分化誘導が期待される。
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Research Products
(1 results)