2014 Fiscal Year Research-status Report
震災ストレスによる動脈硬化性疾患感受性遺伝子の制御異常に関する網羅的解析
Project/Area Number |
25461138
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 衛 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (90305996)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
石川 有 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20583537)
伊藤 智範 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (30347851)
八谷 剛史 岩手医科大学, その他部局等, 准教授 (20580088)
志波 優 岩手医科大学, その他部局等, 講師 (00647753)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | DNAメチル化 / microRNA / 震災ストレス / バイオマーカー / 冠動脈疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、流血中microRNAの発現解析に関する論文掲載および健常人を対象としたDNAメチル化解析、トランスクリプトーム解析および実験系の確立およびサンプルの収集を行った。 岩手県沿岸被災地コホートの構築のために、岩手県沿岸被災地域からのサンプルの輸送による白血球のDNAメチル化およびトランスクリプトーム解析に及ぼす影響について、輸送時間、輸送環境(特に温度管理)および各種保存液による影響などの観点から検証した。具体的には、11名の健常人からの末梢血液を採取し末梢血単核球を分離保存し、さまざまな温度管理下での岩手県沿岸部までの移送実験を行った。末梢血単核球からDNAおよびRNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いたDNAメチル化の網羅的解析およびreal-time PCRを用いたトランスクリプト―ム解析を行った。この研究により、岩手県沿岸被災地域からのサンプルの輸送の影響を受けない実験系を確立することが可能となった。 また、冠動脈疾患を対象とした疾患コホートの構築のために、冠動脈疾患症例60例および非冠動脈疾患症例30例(対照群)から末梢血液の取得および臨床データの収集を行った。末梢血単核球および血漿を分離保存し、血漿から遊離small RNAを含むtotal RNAの抽出、microarrayを用いた4,500個のヒトmicroRNAの網羅的解析、さらに、real-time PCRによる発現解析の実験系を確立した。冠動脈疾患群および対照群から血漿を分離し、mirVanaTM Paris miRNA isolation kit (Ambion)を用いてmiRNA分画を含むRNAを抽出する。miR-39をspiked-in controlとして用いた。マイクアレイ解析:3D-Gene Human miRNA Oligo chips (Toray, Kamakura, Japan)を用いて自然免疫応答で中心的な役割を果たしているToll様受容体4 (TLR4)シグナルを制御するmiRNA群146個のスクリーニング解析を行う。Validation study:上記マイクロアレイ解析の結果をもとにPT-PCR法で候補miRNAの発現を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災という未曾有な自然災害による心理的ストレス負荷は、生体の遺伝子に対し多様な化学的修飾を起こし、冠動脈疾患の発症頻度の増加に関与していることが推測される。そこで、本研究では以下の2項目を研究目的とした。 1)被災地で発症した冠動脈疾患での非翻訳型small RNAの発現について次世代シーケンサーを用いて網羅的解析を行い冠動脈疾患でのsmall RNAの発現プロファイルを構築する。 達成度:昨年度、疾患コホートとして同意を得られた冠動脈疾患60例と非冠動脈疾患30例(対照群)からサンプリングおよび臨床情報を取得した。また、microRNAを含む非翻訳型small RNAの抽出、microarrayによる網羅的解析およびreal-time PCRによる発現解析の実験系を確立し論文掲載したため、概ね達成せれていると考える。 2)冠動脈疾患での疾患感受性遺伝子の機能多型解析、エピジェネティクス解析(後天的DNA修飾)および最終産物の発現制御に関するオミックス解析を行い、small RNAの発現との関連を探求する。 達成度:今年度は、岩手県沿岸被災地域からのサンプルの輸送によるDNAメチル化およびトランスクリプトーム解析への影響について健常人サンプルを用いて検証し、実験系を確立した。さらに、岩手県沿岸被災地コホートの構築のために気仙地区、久慈地区、釜石地区、宮古地区、矢巾地区に健康調査を行うためにそれぞれサテライトを設置し約4,000名のリクルートを行った。これらの実績より今年度の目標はほぼ到達していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
岩手県沿岸被災地での疾患コホートおよび住民コホートの症例数を増やすために、各沿岸医療機関および地方自治体との話し合いや広報活動を行う。当大学病院への入院・通院症例についても同様のリクルート活動を行い症例数の増加を目指す。疾患コホートおよび住民コホートで得られた血液サンプルについては、順次、次世代シークエンサーを用いたメチローム解析およびトランスクリプトーム解析、メチル化アレイを用いたメチローム解析を行う。
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] Reduction of systematic bias in transcriptome data from human peripheral blood mononuclear cells for transportation and biobanking.2014
Author(s)
Ohmomo H, Hachiya T, Shiwa Y, Furukawa R, Ono K, Ito S, Ishida Y, Satoh M, Hitomi J, Sobue K, Shimizu A.
-
Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: e104283
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-