2013 Fiscal Year Research-status Report
若年性大動脈瘤・解離の新規病因としてのフィラミン機能異常に関する検討
Project/Area Number |
25461143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森崎 裕子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40311451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FLNA / 胸部大動脈瘤 / 僧房弁閉鎖不全 / 異所性灰白質 / 血小板機能異常 |
Research Abstract |
FLNA遺伝子は、異所性灰白質の原因遺伝子であるが、胸部大動脈瘤の原因となりうることも報告されている。今回、若年あるいは家族性大動脈瘤患者のうち、既知の病因遺伝子に変異を認めなかった症例213例につきエキソーム解析を行った結果、4例にフィラミンAをコードするFLNA遺伝子の新規変異を同定し、さらに家族解析により1例に同変異を認めたため、これらの計5例について臨床所見を検討した。FLNA遺伝子はX染色体上にあり、X連鎖優性遺伝をするが、5例中1例は男性であり母親より原因変異を引き継いでいた。彼は、エーラスダンロス症候群様の皮膚関節症状のほかに、高度の僧房弁閉鎖不全症を合併し、僧房弁置換術を必要とした。またヘテロ接合体の母親は拡張型心筋症と重度の僧帽弁閉鎖不全を呈していた。大動脈瘤は発端者4例でみとめ、うち3例は手術の適応となっている。心臓弁異常も3例で認められ、全例で何らかの心血管系異常を認めた。神経系では全例で脳異所性灰白質を認めたほか、3例でクモ膜嚢胞を認めた。しかし、典型的所見といわれるてんかんの既往を認めたのは3例のみであり、精神発達障害は全例で認めなかった。その他、4例でヘルニアの既往を認めた。関節症状については、情報の得られた4例全例で関節過可動性を認めた。最近報告された血小板の機能異常に関して、名古屋医療センターの國島伸治先の協力により、女性患者1例について、血小板におけるFLNA発現を調べたところ、約10% の細胞で、発現を全く認めなかった。しかし、血小板機能異常による出血傾向や巨大血小板を認めた症例はなかった。一方、血栓症は3例で認めた。 今後はiPS細胞の樹立とその解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画 では以下の1)~5)を進める予定であった。 1)遺伝性・若年性大動脈疾患としてのフィラミン異常症の探索と同定、2)遺伝性・若年性大動脈疾患の病変組織でのフィラミンタンパク質の検討、3)遺伝性・若年性大動脈疾患の病変組織での細胞内アクチンの検討、4) 遺伝性・若年性大動脈疾患の病変組織での細胞外マトリックスならびにシグナル伝達系の検討、5) 遺伝性・若年性大動脈疾患由来初代培養線維芽細胞の遺伝子発現プロファイリングの検討 このうち、1)については計画通りに達成されたが、2)~5)については、該当者において外科手術の行われた症例がなく、解析可能な組織が得られなかったため、達成できなかった
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Strategy for Future Research Activity |
1)FLNA変異保有者の外科的手術の際に、組織を保存し解析に回すとともに、血管由来平滑筋細胞の初代培養をおこない、細胞保存を行う。 2)血小板を用いたFLNA機能の解析を行う。 3)FLNA変異が疑われる患者については、遺伝子解析を勧める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織解析が遅れているため、そのための費用が先送りになっている。また,本研究費での学会参加が一度だけであり、旅費支出が少なかった。 組織解析およびiPS細胞作製に使用する。
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Research Products
(3 results)