2014 Fiscal Year Research-status Report
若年性大動脈瘤・解離の新規病因としてのフィラミン機能異常に関する検討
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25461143
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森崎 裕子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40311451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FLNA / 胸部大動脈瘤 / 異所性灰白質 / 僧房弁閉鎖不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
FLNA遺伝子は、異所性灰白質の原因遺伝子であるが、胸部大動脈瘤の原因となりうることも報告されている。昨年度までに、若年あるいは家族性大動脈瘤患者のエキソーム解析により、5例にフィラミンAをコードするFLNA遺伝子の新規変異を同定し、さらに家族解析により1例に同変異を認め、これらの計5例についての臨床所見の検討を行ったが、今年度さらに92例について追加解析をおこなった。その結果、これまでに6家系10例においてFLNA遺伝子変異が同定されている。FLNA遺伝子はX染色体上にあり、X連鎖優性遺伝をするが、10例中5例は男性例であり、いずれも母親より原因変異を引き継いでいた。これらの男性例では、いずれも、エーラスダンロス症候群様の皮膚過伸展や関節過可動性、および高度の僧房弁逸脱・僧房弁閉鎖不全症などの僧房弁異常の合併が特徴であり、うち2例は僧房弁置換術を受けている。一方、FLNA遺伝子変異の特徴的所見であるperiventricular nodular heterotopia(PVNH)を認めたのは5例中1例のみであった。これらの症例の母親3例のうち2例は、病的意義の明らかな変異(フレームシフト変異、既報のミスセンス変異)をヘテロで認めるものの臨床的には無症状であった。その他3例でクモ膜嚢胞を認めている。しかし、典型的所見といわれるてんかんの既往を認めたのは3例のみであり、精神発達障害は全例で認めなかった。大動脈瘤は発端者4例でみとめ、うち2例は上行大動脈置換術を受けている。その他、5例でヘルニアの既往を認めた。血小板機能異常による出血傾向や巨大血小板を認めた症例はなかったが、血栓症は3例で認めた。 その他、臨床的にFLNA遺伝子異常が疑われた患者1例で、フィラミン関連遺伝子の変異を同定しており、これについても精査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年発症の大動脈瘤・解離患者のiPS細胞の樹立はすすんでいるが、FLNA異常を有する患者のiPS細胞についての研究が遅れている。遺伝子解析および患者情報の収集についてはほぼ達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
FLNA異常を有する患者のiPS細胞を樹立し、他の若年発症の大動脈瘤・解離患者由来のiPS細胞と比較することにより、これらに共通するメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
iPS細胞の作製が遅れているため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
iPS細胞の樹立をめざす。今年度での解析が困難であれば、遺伝子解析(エクソーム解析含む)を追加で行う
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Research Products
(3 results)