2014 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症の肺血管病変をターゲットとしたバイオマーカーの開発と遺伝子的素因の解析
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25461148
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田邉 信宏 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40292700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80431740)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / バイオマーカー / 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 肺動脈性肺高血圧症 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺高血圧症(PH)および肺血管病変の程度の評価法として、細胞増殖、炎症、内皮機能異常マーカーについて、PHの重症度、Positron Emission Tomograpy (PET)の肺集積度、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の手術時肺組織病理所見、治療効果、予後との関連を解析し、新しいバイオマーカーを開発する。加えて、バイオマーカーの活性に関わる遺伝子多型の関与を明らかにし、肺血管のバイオマーカーと個体要因に基づく個別化医療確立を目指すことである。 昨年は、ペントラキシン-3(PTX-3)が、PAHおよび CTEPHで高いこと、BNPよりすぐれたPHを識別する指標であることを検討したが、その成績を本年度PLOS oneに報告した。さらに、PTX-3の血中濃度よび心筋梗塞の関連する遺伝子多型(rs2305619, rs1840680について、多型ごとに、CTEPHの血行動態や重症度との相関をみたが、有意な相関はなかった、今後他の多型について検討を行う予定である。又、フィブリノーゲンとプラスミノーゲンのバランスがCTEPHの予後と関連することを報告した。 Proto-oncogene serine/threonine-protein kinase (Pim-1)は癌のマーカーであるが、肺高血圧症においても血管平滑筋の増殖, アポトーシス抵抗性に関与することが示唆されている。CTEPH PAH55 例で測定し、PAH、特にIPAH or HPAH群において有意なPim-1値が高値であった。加えて、CTEPH群では、Jamieson分類別での解析において、Type2/3はType1に比べ有意に高値であり、末梢型CTEPHにおけるPAHとの類似性を示唆し、本年度日本呼吸器学会で発表予定である。今後症例を追加し、治療反応性との関連も検討する予定である。 加えて、生体肺標本において、病理学的な肺血管りモデリングの方法を開発し、投稿中である。 また、新たなバイオマーカーの開発のため、蛋白の網羅的解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTX-3 PIM1などの新しいバイオマーカーの意義を明らかにし、病理学的な肺血管リモデリング解析法を開発した。加えて、新しいバイオマーカー開発のため、血中蛋白の網羅的解析を開始した。一方、PETについては、肺集積は弱く、心筋を主体とした解析をすすめている。遺伝子多型については、PTX-3について今回調べた多型においては、有意な結果が得られなかったが、今後多の多型について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新しいバイオマーカー開発のため、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者5名、健常人検体5名の血清についてProtoArray®(Invitrogen社)を用いて血中蛋白の網羅的検討を開始した。9375種類の血清蛋白抗体のスクリーニングを行い、発現の亢進している蛋白を77種、発現の低下している蛋白を90種類同定した。今後スクリーニングされた個々の蛋白について追加検討を予定している。PTX-3については、他の多型について検討を追加する。新規マーカーであるPIM1については、治療反応性等との関連について解析を追加する。
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Research Products
(15 results)