2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
室 繁郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60344454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 篤靖 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30706677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気道炎症 / 細胞外マトリックス / 免疫 / 肺気腫 / 慢性閉塞性肺疾患 |
Research Abstract |
ヒトCOPDにおける臨床検討 平成26年4月の報告書作成時点で当院外来通院中の安定期COPD患者78名が前向き観察研究に参加されている。臨床検討に際してCOPD患者の横断的検討ならびに経年変化評価のため前向き臨床データの蓄積を採取しているほか、それと併せて血中全長DANCEと切断型DANCEの解析、in vitroでリンパ球の自己免疫反応や炎症抑制能を評価するため、血清、血漿、末梢血単核球を単離・凍結保存を行っている。また、COPD増悪時には炎症プロファイル、血中DANCE量が変化していることが予想されるため、臨床研究参加者のCOPD増悪時にも上記評価を行っている(平成26年4月時点で5例)。 動物実験 平成25年度は野生型マウスのエラスターゼ経気道投与肺気腫モデルを用い、以前に実施したDANCE投与による治療効果の再現実験を行ったが、再現性に乏したった。この点についてはエラスターゼにより誘導される気腫が高度なため、DANCEによる治療効果が得られない可能性が考えられた。現在エラスターゼ投与量の確立や投与手技の標準化を目標としたエラスターゼ経気道投与肺気腫モデルの検証を行っており、それと併せてDANCE投与スケジュールの検討を行っている。モデル内、モデル間の生理学的評価を目的として小動物用肺機能測定装置を用いた評価を行っているほか、マウス飼育・実験室を開室し同室に小動物用CT(Latheta LCT-200, 日立アロカメディカル)を導入し、新たな評価ツールとして応用を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト研究においては、エントリーが順調であり、平成25年度にはToll-like receptor ligandsを用いたin vitroでのリンパ球刺激系を用い、マルチカラーフローサイトメーター(BD LSRFortessa™)を用いた細胞内サイトカインの評価を行う予備検討を行うことも可能であった。若年健常者と比較してCOPD患者において、IFNγなど炎症性サイトカイン産生細胞は上昇し、抑制性サイトカイン産生細胞は低下していた。この結果は健常者と比較したCOPD患者におけるリンパ球の反応性の差を支持するものであった。また、頻回にCOPD増悪を呈する症例においては特徴的な反応を示す可能性が示唆された。動物実験では予備検討の再現には至っていないが、野生型マウスを用い、これまでに確立されている6か月間の慢性喫煙鼻部暴露肺気腫モデルに加え、タバコ煙抽出物を用いた新規喫煙関連肺気腫モデルの確立を行っている。このモデルではより短期に肺気腫が形成され、また、気道周囲にリンパ球浸潤もみられるなど喫煙により誘導される免疫応答の評価に応用できると考えている。現在、これらのマウスからリンパ球を単離し、喫煙に関連したリンパ球応答の変化をマルチカラーフローサイトメーターで評価するin vitro刺激系の条件設定を行っている
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト研究においては、現在、連携研究者において血中全長DANCEと切断型DANCEの解析を行っている。また、血清を用い抗エラスチン抗体などの自己抗体測定も行う。また、エラスチン断片などの細胞外マトリックス成分、喫煙関連物質などを用いたin vitroリンパ球刺激系を用いて、表面抗原発現型の変化、細胞種毎のサイトカイン産生の評価を行い、COPDにおける炎症プロファイルの特徴を、当科関連施設から募った年齢を合致させた対照群と比較し明らかにする。 また、上記のデータを現在蓄積が進んでいる胸部CT画像や生理学的データなど前向き観察研究の臨床データとの関連を評価し、COPD患者における新たなPhenotypeの分別やそれに基づいた疾患管理、治療応用の可能性を探る。 動物実験においては、確立した複数のマウス肺気腫モデルを用い、それぞれのモデルにおける気腫形成の時間経過とDANCE発現などの細胞マトリックス発現・障害の時間経過、リンパ球応答の時間経過などを評価する。特に気腫形成の時間経過は病理学的評価、小動物用CTを用いた画像的評価、小動物用肺機能測定装置を用いた生理学的評価と多角的評価を行うことで肺気腫進展様式の差異を同定し、それに基づき生化学的、免疫学的差異の評価を行う。野生型マウスでの評価が終了次第、DANCE投与による治療効果の評価実験を行い、さらに、連携研究者が作成したDANCEを過剰発現するノックインマウスなどを用いて慢性喫煙刺激に対する気腫感受性・自己免疫応答の有無の評価を行う。最終的にDANCEの喫煙感受性予測マーカーとしての応用、治療への応用を目標とする。
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