2014 Fiscal Year Research-status Report
過敏性肺炎の新たな治療標的としてのスフィンゴシン1-リン酸シグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
25461182
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土屋 公威 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (10579189)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 過敏性肺炎 / スフィンゴシン1-リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生活環境由来の抗原の吸入によって肺にⅢ型・Ⅳ型アレルギーが惹起され肺へのリンパ球流入が炎症を促進する過敏性肺炎を研究対象としている。 平成26年度は本学中央飼養保管施設の改修工事が継続され、動物実験施設が使用不可の時期が多かったため、動物を扱わない実験が中心となった。 当研究室では以前よりハト糞抽出物(PDE)による感作・反復吸入によって誘導される慢性過敏性肺炎のマウスモデルを作製しており、保存されているモデルマウスの肺組織を用いて、本研究の目的に関連するサイトカイン・ケモカイン、さらにSphingosine kinase、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)のレセプターのサブタイプR1~R5、線維化に関連するマーカーであるTGF-beta、alpha-SMAなどの遺伝子発現を測定した。コントロールマウスおよびハト糞抽出物(PDE)を反復吸入した過敏性肺炎モデルマウスの肺組織よりRNeasy Mini Kitを用いてRNAを抽出した。次に、SuperScript III Reverse Transcriptaseを用いて逆転写を行いcDNAを作製した。Ssoadvanced SYBR Green Supermixおよびプライマーを購入し、cDNAを用いてreal-time PCRを行い、肺組織中mRNA発現を測定した。結果は、過敏性肺炎モデルマウスの肺組織ではコントロールマウスと比較して、T細胞に関与するサイトカイン、ケモカインの発現が上昇しており、さらにS1PレセプターのサブタイプR1-5のうち、一部のサブタイプが発現上昇し一部が発現低下していることが明らかになった。平成27年度の研究では、過敏性肺炎モデルマウスに対してスフィンゴシン1-リン酸(S1P)シグナル伝達系を抑制する薬剤を投与することによって、生体内での病態を解析していく実験を中心に予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本学中央飼養保管施設の改修工事が施行中であったため動物実験が不可であったが、ようやく平成26年末より使用可能となったため計画・準備をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、リンパ球循環の過程に重要であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)シグナル伝達系を抑制することによってT細胞の肺組織浸潤を抑制し病態を改善することを仮説としている。今後過敏性肺炎モデルマウスを用いた実験により、S1P受容体の機能的アンタゴニストでありリンパ球上のS1P受容体に作用し受容体の内在化・分解を誘導し発現を抑制するFTY720 (フィンゴリモド塩酸塩)の投与が、生体内で病態へ与える影響を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本学中央飼養保管施設の改修工事が施行中で動物実験が不可であったため、動物を使用する実験開始が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に動物実験に関する費用(マウス、動物処置など)として使用する予定
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 当院における過敏性肺炎の原因別比較2014
Author(s)
岡本 師, 古澤 春彦, 立石 知也, 土屋 公威, 藤江 俊秀, 玉岡 明洋, 坂下 博之, 宮崎 泰成, 角 勇樹, 稲瀬 直彦
Organizer
第54回日本呼吸器学会学術講演会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2014-04-25 – 2014-04-27