2015 Fiscal Year Annual Research Report
カルボニルストレス軽減・腹膜透析患者腹膜庇護薬「ピリドキサミン」の開発
Project/Area Number |
25461256
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
角田 隆俊 東海大学, 医学部, 教授 (50276854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
小林 広幸 東海大学, 医学部, 教授 (60195807)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腹膜透析 / 腹膜保護 / ピリドキサミン / 内服薬 / carbonyl |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボニル・ストレスの阻害薬であるピリドキサミンの腹膜保護効果とその臨床応用を検討した。 SDラットを亜腎摘して腎不全モデル動物を作製し、これに1日2回の腹膜透析を2週間続けた。この間、1日50mgのピリドキサミンを胃管投与し(n=7)、Vehicleのみを投与した群(n=8)、および亜腎的も腹膜透析も行わなかった群(n=7)とともに、機能解析、形態学解析、生化学解析による比較を行った。ピリドキサミン投与のない腹膜透析群においては、腹膜透析液への小分子量溶質の移行が増大し、中皮下マトリクス層の血管とリンパ管が増加することが特徴であるが、ピリドキサミンの投与により、小分子量溶質の移行が抑制され(p<0.01)、腸間膜の血管密度が低下し(p<0.04)、さらに血中のペントシジン濃度が低下した(p=0.018)。これらの結果より、ピリドキサミンが腹膜のカルボニル・ストレスを低減させることで腹膜を保護する働きを持つことが明らかになった。 次に、ピリドキサミンの臨床への適用を検討するため、腹膜透析患者におけるピリドキサミンの薬物動態と薬力学について検討した。腹膜透析患者(n=6)へ600mgのピリドキサミンを内服させ、1日に4回の腹膜透析を施行しながら検体を採取した。薬物速度論的解析から、見かけの全身クリアランスCL/Fは20.0 L/h、吸収速度定数Kaは0.466 L/h、見かけの分布容積V/Fは43.7 L、消失速度Keは0.409 L/h、消失半減期は1.70 hと見積もられた。血中のピリドキサミン濃度は腹膜透析患者において健常者(n=8)の3倍であり、ピリドキサミン投与時の腹膜透析液中の総カルボニル量は、ピリドキサミン投与のない場合に比べて有意に低下していた。 以上の結果より、ピリドキサミンの腹膜透析機能不全の改善効果が明らかになり、内服薬として臨床への適用の可能性が示された。
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Research Products
(1 results)