2013 Fiscal Year Research-status Report
食餌性肥満のリバウンド期における脂肪組織の挙動に対する薬物的介入の効果の検討
Project/Area Number |
25461358
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
河野 雅和 香川大学, 医学部, 教授 (20153489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 浩二 香川大学, 医学部, 准教授 (00263913)
アリフ・ウル ハサン 香川大学, 医学部, 研究員 (00570368)
野間 貴久 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20363202)
石原 靖大 香川大学, 医学部附属病院, その他 (80532689)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脂肪細胞 / 多価不飽和脂肪酸 / アディポネクチン / インターロイキン6 / 血管内皮増殖因子 |
Research Abstract |
本研究では、肥満症から一時的に減量に成功した後のリバウンド期において、間欠的低酸素曝露や、各種生活習慣病治療薬が、脂肪組織機能、インスリン抵抗性および、心血管系合併症に及ぼす影響、およびそのメカニズムをin vitroおよびin vivoの前臨床実験により明らかにすることを目的とする。 平成25年度には、3T3-L1脂肪前駆細胞を用いた細胞培養実験システムを用いて、in vitroの検討を行った。すなわち、同細胞の分化誘導開始と同時に、飽和脂肪酸(SFA)、または多価不飽和脂肪酸(PUFA)を添加し、7日目の脂肪蓄積を観察したところ、SFAであるパルミチン酸では、対照群と同様に多数の脂肪滴が見られたが、n-3系PUFAであるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸では、軽度に脂肪滴の蓄積が抑制された。一方、n-6系PUFAであるアラキドン酸では、脂肪滴の蓄積が著しく抑制された。この形態への影響を、炎症マーカーであるIL-6、脂肪細胞機能のマーカーであるアディポネクチンの発現パターンへの影響と対比すると、各脂肪酸が脂肪細胞の分化/肥大に及ぼす影響が異なる、すなわち、n-3系PUFAは分化を妨げず肥大を抑制し、n-6系PUFAは分化を抑制することが示唆された。 また、成熟した脂肪細胞(誘導8日目)にEPAを投与すると、アディポネクチンおよびVEGF-Aの発現と分泌が促進され、EPAが成熟脂肪細胞を良質化し、虚血耐性を与える可能性が示唆された。さらに、GPR120に対するsiRNAでこの受容体の発現を低下させた脂肪細胞では、EPAによるVEGF-Aの発現促進作用が減弱し、脂肪細胞に対するEPAのVEGF-A産生促進作用の少なくとも一部はGPR120を介することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者、研究者協力が別の課題等にエフォートを取られたためと、リバウンドモデルのパイロット実験として行った正常脂肪細胞モデルで得られたEPAの作用とその脂肪細胞への作用機序についての展開に新規性があったため、この検討に時間を割いたためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞での減量リバウンドモデルを確立し、平成25年度に明らかにしたPUFAの効果を肥満期、減量期、リバウンド期において明らかにする。また25年度に別課題でも検討したアンジオテンシンII受容体遮断薬の効果や、低酸素(25年度はコントロール細胞を用いたパイロット研究のみ実施)を各ステージごとに明らかにしたい。さらに、in vivoの実験に着手したい(26年度の施設内での当該動物実施計画書は再提出後、承認待ちの状態である)。報告者も研究分担者も引き続き、他の業務にエフォートを取られる可能性が高いので、実験補助員を雇用する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定であった分光光度計 NanoDrop ND1000は別経費で購入されたため、またインキュベータは他部署のものの借用が可能であったため、それぞれ、購入の必要がなくなった。さらに、消耗品、試薬なども、他の経費から購入したものの残余を用いたため、経費を節約できた。 平成26年度の配分経費と合わせて、実験助手(実験補助員)の人件費に充てる計画である。しかし、本課題に関する研究分担者、研究協力者のエフォート配分が回復した場合は、人件費でなく、in vivo実験に用いる小動物間欠的低酸素負荷装置の購入に充てる計画である。
|