2013 Fiscal Year Research-status Report
SNP・環境因子統合エピジェネティクスによるレジスチン遺伝子発現調節機構の解明
Project/Area Number |
25461359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大澤 春彦 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90294800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 裕 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294794)
高田 康徳 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20432792)
川村 良一 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (90533092)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レジスチン / インスリン抵抗性 / SNP / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / 2型糖尿病 / 遺伝子 / 環境因子 |
Research Abstract |
レジスチンは、マウスにおいて、脂肪細胞から分泌され、インスリン抵抗性を惹起するサイトカインである。ヒトでは、主に単球に発現し、炎症、インスリン抵抗性、動脈硬化をリンクする鍵分子である。我々は、レジスチン遺伝子の転写調節領域に存在する 一塩基多型(SNP)-420が、2型糖尿病リスクを高めることを報告した。さらに、SNP-420が血中レジスチンとも関連することを示した。一方、環境因子はエピジェネティクスを介して遺伝子発現に影響しうる。 本研究では、SNP・環境因子・エピジェネティクスを統合したレジスチン遺伝子発現調節機構を解明する目的で、レジスチン遺伝子の転写調節領域を中心としたDNAメチル化、ヒストン修飾、及びmiRNAを解析する。第一に、培養細胞を用いて、環境因子の作用を模倣する可溶性因子(液性mimeticsと呼ぶ)のレジスチンプロモーター活性、mRNA、メチル化、miRNAへの効果を解析する。第二に、ヒト単離単球を用いて、SNP-420の遺伝子型の違いによるメチル化、レジスチンの標的mRNAやmiRNAへの効果の違いを解析する。第三に、一般住民多数例について、レジスチンSNPと環境因子の血中レジスチン及びメチル化への効果について解析する。こうして、2 型糖尿病等のインスリン抵抗性関連疾患の新たな発症予防・治療戦略を見出す。 本年度は、主として、レジスチンSNP-420とメチル化、血中濃度の関係を遺伝疫学的に解析した。その結果、血中レジスチンとレジスチンプロモーター領域のメチル化が負に関連する可能性を見出した。また、THP-1ヒト単球細胞において、いくつかの液性mimeticsによりレジスチンmRNAが変化することを確認した。また、ヒト単離単球において、SNP-420の遺伝子型の違いによるレジスチン標的mRNAへの効果の違いを一部解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジスチンSNP-420とメチル化、血中濃度の関係についての遺伝疫学的解析により、血中レジスチンとプロモーター領域のDNAメチル化が負に関連する可能性を見出した。これにより、SNPと環境因子によるメチル化と血中レジスチンへの効果を解析できる見通しがたった。さらに、THP-1ヒト単球細胞において、いくつかの環境因子液性mimeticsによりレジスチンmRNAが変化することを確認した。まだ一部ではあるが、環境因子の効果を液性因子により代替えしてin vitroで解析できる可能性が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、多数例について、レジスチンSNP-420とDNAチル化、血中レジスチン濃度の関係を遺伝疫学的に解析する。環境因子のうち、定量化が可能なのものについて、DNAメチル化及び、血中レジスチンへの効果をSNPとの相互作用も含めて解析する。また、THP-1ヒト単球細胞において、レジスチンmRNAを変化させることを確認したいくつかの液性mimeticsについて、mRNA以外に、プロモーター活性、miRNA、DNAメチル化への影響を解析していく。また、ヒト単球において、SNP-420の遺伝子型の違いによるレジスチンの標的mRNAへの効果の違いについて、例数を増やして解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝疫学解析について、新たな血中サイトカインを測定するに当たり、キットのロット間のバラつきを調整する必要があることが想定された。そこで、まず基礎検討をした後に、多くのサンプルをまとめて同一ロットで測定した方が効率が良いと考えた。そのために、次年度使用額が生じた。 さらに遺伝疫学解析を推進するために、血中サイトカイン等測定、DNA抽出とSNPタイピングに必要なTaqmanアッセイ、DNAシークエンスのための試薬を購入する。In vitroの解析を進めるために、細胞培養、RNA定量、ルシフェラーゼアッセイ等に必要な試薬を購入する。また、細胞への遺伝子導入に用いるベクターの作成に必要な修飾・制限酵素やDNAシークエンスに必要な試薬の購入をする。
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