2014 Fiscal Year Research-status Report
二本鎖RNAによるプリオン感染促進分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
25461514
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐野 和憲 福岡大学, 薬学部, 講師 (50534343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プリオン / dsRNA / 感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ウイルス由来の二本鎖RNA(dsRNA)と同様の免疫活性を持つ合成dsRNAであるPoly(I:C) が、野生型マウスにおける22L株プリオン感染後の発症までの潜伏期間を短縮し、プリオン感染神経芽細胞中の異常型PrP蓄積を増大することを示唆する実験結果を得ている。さらに、異なるプリオン株におけるPoly(I:C)のプリオン感染促進作用を解析したところ、Poly(I:C)はChandler株プリオン感染神経芽細胞中の異常型PrP蓄積を増大し、異なるプリオン株においても同様の結果が得られた。 dsRNAを認識するToll-like receptor 3(TLR3)、Retinoic acid-inducible gene-I(RIG-I)、Melanoma differentiation-associated protein 5(MDA5)などの自然免疫関連因子の発現ベクターをマウス神経芽細胞にトランスフェクションし、異常型PrP蓄積の変化を解析したところ、TLR3、RIG-I、MDA5を高発現させることによって、プリオン感染後の異常型PrP蓄積は増加した。一方、一本鎖RNAを認識するTLR4、細菌由来のリポ多糖を認識するTLR8の導入は、異常型PrP蓄積に影響しなかった。以上の結果より、プリオン感染にPrP以外の修飾・補助因子としてdsRNAとその宿主側シグナル分子群であるTLR3、RIG-I、MDA5などの自然免疫関連因子が働いていることが示唆された。 さらに一本鎖RNA、リポ多糖は、野生型マウスにおける22L株プリオン感染後発症までの潜伏期間に影響を及ぼさず、また、プリオン感染神経芽細胞中の異常型PrP蓄積に対しても影響しない結果が得られた。これらの結果より、dsRNAが特異的なプリオン感染促進分子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスを用いたバイオアッセイにおいて、dsRNAのプリオン感染促進作用の再現性が得られた。さらに、一本鎖RNAやリポ多糖などの他の因子はプリオン感染促進作用を有さないことが明らかとなり、プリオン感染病態において、dsRNAが特異的なプリオン感染促進分子であることを示唆できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
dsRNAの作用機序を解明する実験を重点的に行う。
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