2015 Fiscal Year Annual Research Report
興奮毒性に応答するシグナル伝達経路の解明とNrf2による細胞死抑制機構の解析
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25461565
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
古川 絢子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (10455537)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / カルボニル化 / プロテオミクス / 興奮毒性 / グリア細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、興奮毒性におけるグリア細胞の応答に関わる分子を明らかにし、脳内環境の恒常性維持に基づく神経細胞死の制御に関わるメカニズムを解明する事を目的としている。これまでの研究では、興奮毒性試薬であるグルタミン酸を負荷したC6ラットグリオーマ細胞(C6細胞)において、細胞死に先立ち、細胞内グルタチオン量の経時的な減少と、それに引き続くタンパク質酸化損傷の増加が認められた。本年度は興奮毒性を負荷したC6細胞において、興奮毒性による酸化ストレスに応答する分子を解明することを目的とし、タンパク質酸化損傷の指標のひとつであるカルボニル化タンパク質を同定した。 昨年度までの結果でカルボニル化タンパク質の増加が認められたグルタミン酸負荷後9時間とコントロールの細胞を用い、それぞれタンパク質を抽出した。二次元電気泳動とカルボニル化タンパク質に対する抗体を用いて、各タンパク質のカルボニル量を比較定量した。解析の結果、グルタミン酸負荷によりカルボニル化が増加するスポットが8個検出された。各タンパク質スポットからトリプシン消化にて得られたペプチドを濃縮・脱塩し、飛行時間型質量分析装置を用いてアミノ酸配列解析を行った。解析の結果、Protein disulfide isomerase (PDI)、Mitochondrial heat shock protein 70 (HSP75)を同定した。HSP75はミトコンドリアのシャペロンタンパク質であり、虚血による細胞傷害からアストロサイトを保護する機能が報告されている。PDIは小胞体でのタンパク質折り畳みにおいてジスルフィド結合を形成する酵素である。以上の結果から、興奮毒性時にアストロサイトでは、GSH減少をきっかけとして細胞保護機能の減弱と小胞体ストレスが起きていると考えられる。これらの機能変化を改善し、アストロサイトの正常化を目指す事で、脳内環境の改善に繋がる可能性がある。
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Research Products
(2 results)