2015 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞受容体再構成異常が基盤とした発がん機構の解析
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25461580
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高木 正稔 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10406267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA損傷応答機構 / T細胞受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
毛細血管拡張小脳失調症(以下AT)は常染色体劣性遺伝形式の先天性免疫不全症である。進行性の小脳失調症および、リンパ球減少を生じ、肺炎などの重症感染症及び、患者の20%に主にT細胞系白血病、悪性リンパ腫を発症する疾患である。免疫不全と発がんとの間に何らかの関係があることが予想されるが、その詳細は分かっていない。ATにおけるT細胞分化異常はT細胞分化に必要なT細胞レセプター(TCR)の再構成で、特にα鎖の再構成異常があるためとされてきた。しかし我々のこれまでの研究でATM欠損マウスではDN期のDN2、DN3aからDN3aの移行にも大きな障害があることが示唆された。胸腺内β- セレクションや γδ-セレクションのおける調節障害がT細胞減少につながり、免疫不全に関連していると考えられた。 ATMはDNA2重鎖損傷を認識し、DNA2重鎖損傷が修復されるまで、TP53などを介し細胞周期を止め、その間にDNA修復へと誘導するのに必要な分子である。しかしATMは欠損しているとTCRα/δ におけるVDJ再構成の時RAG1/2依存によっておこるDNA2重鎖切断が修復される以前に細胞周期が進行してしまうため、胸腺内β- セレクションやγδ-セレクションでのチェックポイントが機能せず、T TCRα/δ遺伝子座を含むDNA2重鎖切断胆を起点とした染色体転座がTCRβ鎖やIGH鎖との間で起こり、また近傍の遺伝子増幅や欠失が起こり、TCRや免疫グロブリンエンハンサーやプロモーターが近傍のがん遺伝子を活性化することが腫瘍化につながることが明らかとなった。またATMを含めたDNA損傷応答機構が発がんのバリアとして働いていることをBCR/ABLトランスジェニック慢性骨髄性白血病モデルマウスを用いて証明した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] ATM and SIRT6/SNF2H Mediate Transient H2AX Stabilization When DSBs Form by Blocking HUWE1 to Allow Efficient gammaH2AX Foci Formation2015
Author(s)
Atsumi, Y. Minakawa, Y. Ono, M. Dobashi, S. Shinohe, K. Shinohara, A. Takeda, S. Takagi, M. Takamatsu, N. Nakagama, H. Teraoka, H. Yoshioka, K.
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Journal Title
Cell Rep
Volume: 13
Pages: 2728-40
DOI
Peer Reviewed / Open Access