2014 Fiscal Year Research-status Report
水道水リチウムと自殺予防:日本全国を対象とした調査
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25461734
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 啓義 大分大学, 医学部, 講師 (00555063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 岳 大分大学, 医学部, 教授 (80217413)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リチウム / 自殺率 / 水道水 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本全国のリチウム濃度を測定している。そのうち北海道に関しては、全35市の市役所に採水用ボトルを郵送し31市より返送があった。残りの4市(江別市、小樽市、北広島市、砂川市)は実際に北海道まで行き、水道水を採取した。複数のサンプルを採取した市は、先行研究にならい、リチウム濃度の平均値を用いた。2010年と2011年の自殺のSMR(男女込み、男性、女性)の平均値とリチウム濃度の相関を、気象庁の公表した2010年と2011年の日照量、気温、降水量、降雪量の平均値で補正しながら検討した。各市の2010年と2011年の人口平均による重み付けを行いつつ、ステップワイズ法による重回帰分析を行った。 北海道(35市)単独で解析した上で、九州(118市)と併せて解析した。
その結果、北海道では、男性において、水道水リチウムと自殺のSMRの間に有意な負の相関が認められ、4つの気象条件で補正しても有意であった。九州でも、男性において、水道水リチウムと自殺のSMRの間に有意な負の相関が認められたが、4つの気象条件で補正すると有意性は消失した。北海道と九州を併せると、やはり男性において、水道水リチウムと自殺のSMRの間に有意な負の相関が認められ、4つの気象条件で補正しても有意であった。これらの所見から、気象条件で補正してもなお男性における水道水リチウムと自殺の関連は支持されたため、男性においては微量なリチウム摂取が自殺予防に役立つ可能性が疫学研究のレベルで再確認された。女性において有意な関連が見られなかった理由として、女性の自殺に対してリチウムの寄与が極めて低いことが想定される。これは、男性の自殺に攻撃性や衝動性が絡んでおり、そこに微量なリチウムが奏効するが、女性の場合には致死的な手段が男性と比較して少ないことから攻撃性や衝動性が大きくないために、リチウムの効果が出にくい可能性を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道以外にも東北を除いては、比較的順調に水道水の採取が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
東北地方を中心に水道水の採取を進める。協力の得られないところが今までも生じたし今後も生じる可能性があるが、そのような場合には速やかに現地へ出張し水道水を採取し、研究に遅滞が生じないように努力する。
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Research Products
(2 results)