2013 Fiscal Year Research-status Report
クロザピンの治療抵抗性統合失調症のP糖タンパク質を介した作用機序解明の検討
Project/Area Number |
25461742
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長田 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20233504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴家 康男 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60308450)
芳賀 俊明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80535625)
中野 三穂 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90621574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | P糖タンパク質 / ブロナンセリン / クロザピン |
Research Abstract |
近年、P糖タンパク質により抗精神薬の脳内濃度が調節されていることが判明した。申請者らは、ラットに定型抗精神薬、非定型抗精神病薬を長期間投与後、P糖タンパク質が増加し、薬物排出量が増加していることを国内外で初めて報告した。さらにブロナンセリンがクロザピンと同様に、P糖タンパク質により排出されないことを報告した。 そこで、今回は治療抵抗性統合失調症の唯一の治療薬であるクロザピンが治療抵抗性統合失調症に効果のある機構をP糖タンパク質を中心に解明し、さらに、ブロナンセリンが治療抵抗性治療統合失調症に治療薬になり得るかの検討した。さらに、中枢神経で発現しているP糖タンパク質が末梢組織でのP糖タンパク質の発現に反映されているかを検討した。マウス顎下線からRNAを採取しP糖タンパク質のmRNA量をPCRで測定し、脳組織のP糖タンパク質の変化が各末梢の組織でも同様に変化するかを確認したが変化を認めなかった。P糖タンパク質ノックアウトマウスを用い、リスペリドンはAUCで10倍、パリペリドンはAUCで25倍の薬物濃度がP糖タンパク質で脳内から排出されているが、ブロナンセリンはP糖タンパク質の基質とならない非定型抗精神病薬であることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢神経で発現しているP糖タンパク質が末梢組織でのP糖タンパク質の発現に反映されているかを検討はすでに終了した。マウスの末梢組織としての唾液腺からRNAを採取しP糖タンパク質のmRNA量をPCRで測定し、脳組織のP糖タンパク質の変化が各末梢の組織でも同様に変化するかを確認した。平成25年度は研究計画通りに概ね進行しており、今後P糖タンパク質過剰発現トランスジェニッックマウスを作成を考慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
P糖タンパク質過剰発現トランスジェニックマウスにphencyclidine連続投与後、P糖タンパク質により排出される各抗精神病薬投与群と、クロザピン投与群とのマウスの行動観察をすることで、過剰発現したP糖タンパク質による抗精神病作用を検討する。 さらに、クロザピン、ブロナンセリンのP糖タンパク質で排出されない薬物と、P糖タンパク質で排出される薬物を治療抵抗性統合失調症の患者に投与し、臨床評価を陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて比較検討する。さらに、末梢組織でのP糖蛋白質発現、P糖タンパク質遺伝子多型についても測定し、治療反応性症例とP糖タンパク質の相関を比較検討する。
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