2014 Fiscal Year Research-status Report
クロザピンの治療抵抗性統合失調症のP糖タンパク質を介した作用機序解明の検討
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25461742
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長田 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20233504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴家 康男 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60308450)
芳賀 俊明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80535625)
中野 三穂 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90621574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | P糖蛋白質 / アリピプラゾール / クロザピン / ジゴキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
P糖蛋白質(P-gp)は、脳血液関門を介した薬物の流通に影響する膜蛋白であり、抗精神病薬では例えばアリピプラゾールやリスペリドンなどがP-gpにより輸送される。一方、治療抵抗性の統合失調症の治療薬であるクロザピンはP-gpの基質でないことが知られている。また、ジゴキシンはP-gpの基質であり、P-gpの薬物排出機能やP-gpに対する投与薬物の抑制作用を評価する際に広く用いられる。 我々はC57BL/6マウスに10mg/kg/日のアリピプラゾール、クロザピンを6週間に渡って経口投与した。またP-gpの機能を調べるために、解剖2時間前に2mg/kgのジゴキシン単回腹腔内投与を行った。ジゴキシンの血漿中濃度、脳内濃度、脳/血漿濃度比は、クロザピン投与群では有意差を認めなかった。 アリピプラゾールを6週間投与後、ジゴキシンの脳内濃度および脳/血漿濃度比はそれぞれ4.16倍、5.67倍に上昇した。これはアリピプラゾールの長期投与が、マウス脳においてP-gpを介した脳からのジゴキシン排出の抑制に関与したためと考えられた。これらの結果は、アリピプラゾールによってP-gp発現が誘発され、P-gpおよび試薬間の相互作用により修飾されることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、非定型抗精神病薬であるブロナンセリンがクロザピンと同様にP-gpの基質にならないということが判明した。さらにP-gpの基質の基質であり、強い抑制作用を持つアリピプラゾールをマウスに6週間投与後、P-gpの基質の基質であるジゴキシンの脳内濃度および脳/血漿濃度比を増加させ、P-gpを介するジゴキシンの脳内からの排出を抑制させた事を突き止めた。これらの結果を今後、ヒトでの臨床的に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
アリピプラゾール、クロザピンを長期投与後のP-gpの薬物排出機能をジゴキシンを介して検討した結果、6週間の長期投与後での個体レベルでの変化を来していることが判明した。このメカニズムについて今後さらに詳細に検討していく事を考えている。 またP-gpの基質となる抗うつ薬も長期投与後の変化につての検討も必要であると考えている。 さらに、臨床レベルでP-gpと臨床症状の変化を検討するにあたり、末梢組織でのP-gpの測定が必要となる。本年度は、これらの点の研究も行う予定である。
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[Presentation] 双極性障害の症状と睡眠障害に対する検討2014
Author(s)
長田賢一, 牛谷真由美, 瀧沢絵里, 中野三穂, 渡邉高志, 田口篤, 芳賀俊明, 武藤亜矢, 貴家康男, 山口登
Organizer
日本睡眠学会第39回定期学術集会
Place of Presentation
あわぎんホール(徳島県)
Year and Date
2014-07-03 – 2014-07-04