2015 Fiscal Year Research-status Report
クロザピンの治療抵抗性統合失調症のP糖タンパク質を介した作用機序解明の検討
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25461742
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長田 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20233504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴家 康男 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60308450)
芳賀 俊明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80535625)
中野 三穂 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90621574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | P糖タンパク質 / クロザピン / アリピプラゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、薬物の血液脳関門透過性においてP糖タンパク質(P-gp)が、重要であることが解明された。申請者らは、P糖タンパク質ノックアウトマウスを用い、リスペリドンはAUCで10倍、パリペリドンはAUCで25倍の薬物濃度がP糖タンパク質で脳内から排出されているが、ブロナンセリンはP糖タンパク質の基質とならない非定型抗精神病薬であることを解明した。 ジゴキシンは P-gpの基質であり、P-gpの薬物排出機能やP-gpに対する投与薬物の抑制作用を評価する際に広く用いられる。またP-gpの機能を調べるために、C57BL/6 マウスに 10 mg/kg/日のアリピプラゾール、クロザピンを6週間に渡って経口投与し、解剖2時間前に2 mg/kgのジゴキシン単回腹腔内投与を行った。ジゴキシンの血漿中濃度、脳内濃度、脳/血漿濃度比は、クロザピン投与群では有意差を認めなかった。アリピプラゾールを 6 週間投与後,ジゴキシンの脳内濃度および脳/血漿濃度比はそれぞれ4.16 倍、5.67 倍に増加した。これはアリピプラゾー ルの長期投与がマウス脳においてP-gpの発現を増加させ、脳からのジゴキシン排出の抑制に関与することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床的に治療抵抗性統合失調症を対象にP-gpを測定する方法を検討していたが、直接中枢神経でのP-gpを測定することは、PETを用いる方法しかなく、現実的にはPETの施行は困難である。従って、中枢神経系のP-gpの変化を反映する末梢組織の同定が必要になる。末梢組織として唾液を検討したが、消化管系でのP-gpの発現は日内変動の報告があるが、唾液も同様に日内変動を認めたため、中枢神経系の代用となる末梢組織としては妥当ではなかった。そこで現在は血液中のリンパ球を分離しP-gpを測定し、中枢神経系の代用となるかの検討を始めた。この研究結果が確立してない状況では臨床研究が出来ない状況であり、研究が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢神経系の代用となる末梢組織を同定後、ヒトでの応用が可能となる。治療抵抗性統合失調症を対象にP-gpを測定する方法を確立し、P-gpと治療抵抗との関連を臨床試験にて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
臨床的に治療抵抗性統合失調症を対象にP-gpを測定する方法を検討していたが、直接中枢神経でのP-gpを測定することは、PETを用いる方法しかなく、現実的にはPETの施行は困難である。従って、中枢神経系のP-gpの変化を反映する末梢組織の同定が必要になる。末梢組織として唾液を検討したが、消化管系でのP-gpの発現は日内変動の報告があるが、唾液も同様に日内変動を認めたため、中枢神経系の代用となる末梢組織としては妥当ではなかった。そこで現在は血液中のリンパ球を分離しP-gpを測定し、中枢神経系の代用となるかの検討を始めた。この研究結果が確立してない状況では臨床研究が出来ない状況であり、研究が遅延した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中枢神経系の代用となる末梢組織を同定後、ヒトでの応用が可能となる。治療抵抗性統合失調症を対象にP-gpを測定する方法を確立し、P-gpと治療抵抗との関連を臨床試験にて検討する予定である。
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