2013 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラムのstate marker-注視点検出装置の臨床応用と展開
Project/Area Number |
25461758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (20362189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝昭 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00285040)
松崎 秀夫 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00334970)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 注視点 / 診断指標 / 重症度指標 |
Research Abstract |
乳幼児の神経発達を客観的に評価する注視点分布計測装置「GazeFinder」を(株)JVCケンウッドより購入し、浜松医科大学内に設置した。すでに購入済みの1台を佐賀市ほほえみ館にも設置し、佐賀市においては1歳6ヶ月健診を訪れた児、浜松医科大学においては5~6歳児を対象とした臨床試験を開始した。25年度は、保護者の協力ならびに同意の得られた297名を対象として、GazeFinderが対象児の年齢によらず安定したデータ取得が可能であるかどうかについて、データ取得率の検討をおこなった。なお、データ取得率とは、注視点分布データを計測する1分47秒(107秒)間の中で、カメラを通して取得された注視点数を、原理的に取得可能な注視点数(107×50)で除したパーセンテージである。 その結果、当初の目標を上回る297名のデータを取得することができた(男:女=178:119、平均2.0歳、Range=1.3~6.1歳)。297名のデータ平均データ取得率は85%(Median=90%、Range=0~100%)であり、データ取得率が50%に満たない対象児は全体の5%にとどまった。その割合は、1歳6ヶ月健診に訪れた児でも同じく5%であったことから、GazeFinderが年齢によらず安定したデータ取得が可能な計測装置であることが確認された。 ついで、データ収集を行った297名について、注視点分布計測値が神経発達以外の外部要因(すなわちConfounder)にどの程度影響されるかについての検証を行った。その結果、GazeFinderから提示される視覚刺激のうち、選好画像C、D、フラクタル画像D、人物静止画像、点画画像Aの5つに対する計測値が性別に、人物瞬き画像、人物話しかけ画像に対する計測値が同胞順位に関連していることが分かった。これらを、今後統制すべき共変量として考慮していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GazeFinderが一貫性の高い、安定した計測値をReliableに提示することが示された。このことは、今後、重症度との関連を検討するにあたってどうしても確認しておくべきことがらであり、その意味で現在の進捗は順調であるといえる。 一方、当初の計画では、25年度中に被検者の重症度を測定し、GazeFinder計測値との関連を検討する予定であった。現在、自閉症スペクトラムと診断の確定した幼児の募集およびデータ収集を継続しており、現在は1歳6ヶ月~2歳児における「自閉症スペクトラム診断」「M-CHAT総計値」(Modified Checklist for Toddlers, Robins et al, 2001)とGazeFinderデータのセットが200名以上分収集されており、今年度前半に解析に着手できる状態にある。この点で若干の遅れがあるともいえるが、あらたに注意欠陥多動性障害の重症度を測定するためのデータ収集にも着手し、すでに50名分が収集されている。ここから、当初の予定を上回る成果が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1.26年度はGazeFinder計測値とM-CHATおよびSRS(Social Responsiveness Scale)との関連について大がかりな解析ができる見込みである。すでにデータ収集の大半を終えているため、研究の遂行には支障がない。 2.あらたに、GazeFinder計測値と注意欠陥多動性障害の重症度との関連を、浜松母と子の出生コホートに参加する300名を対象として検討する。300名はすでに同コホートに参加している被検者であり、新たに研究の同意を得る必要がない。一部(約50名)はすでにデータ収集を終えており、今後1~2年のうちに300名分のデータを収集するにあたっての支障はない。なお、注意欠陥多動性障害の重症度を評価するための外的指標としてはADHD-RS(ADHD Rating Scale)を用いている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
対象者の募集が順調に進み、補助人員への雇用が当初の想定ほど必要なかったことが、全年度の使用の遅れの一因である。一方、26年度以降には予定通り雇用が必要であり、さらに大規模なデータの解析のために再委託によりデータベース化を図ることが必要となる見込みである。 再委託によるデータベース発注に1000千円、業務補助に300千円の上積みを、残額は予定通りの使用を見込んでいる。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Placental weight and sleep onset among infants: Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study2013
Author(s)
1. Tsuchiya KJ, Asano R, Harada T, Kugizaki Y, Nakahara R, Nakayasu C, Okumura A, Suzuki Y, Takagai S, Itoh H, Takei N for HBC Study Team
Organizer
The 8th World Congress on Developmental Origins of Health and Disease
Place of Presentation
Singapore
Year and Date
20131117-20131120
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