2013 Fiscal Year Research-status Report
NAFLD/NASHを背景とする肝細胞癌多段階発癌と分子標的薬介入による効果
Project/Area Number |
25461808
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹原 康雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70188217)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 三千男 浜松医科大学, 実験実習機器センター, 技術専門員 (90397373)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | NASH / NAFLD / HCC / MRI / Sorafenib / 化学発癌 |
Research Abstract |
5週齢のOLETF(10匹)とLETO(10匹)に40日間diethylnitrosamine(DEN)を含有する給水で飼育し、化学的に肝線維化とHCC発癌を惹起させた。対照群としてDENを投与しないOLETF(10匹)に通常飼育を行った。飼育開始後40日目にGd-EOB-DTPAによる造影 MRI(造影前、造影動脈相、造影門脈相、肝細胞造影相) を施行し、この時点では肝細胞癌がどの群にも発生していないことを確認。いずれの群においても観察期間中において体重(g)は単調増加であり、40日目の時点では、DEN を投与した OLETF で282.1±12.9 、LETO で191.6±21.0、DEN を投与しない対照群の OLETF で360.5±31.9と有意の差があった。その後 飼育110日目に再びMRI 撮影を施行した。この時点では OLETF は10匹中6匹が生存していたのに対しLETO では10匹中3匹しか生存していなかった。興味深いことに肥満群である OLETFにおいてDEN に対する介入にLETO よりも有意に抵抗力を示したと言える。この時点でin-phase、 out-of-phase imageによって肝内の脂肪沈着の程度を評価し、Gd-EOB-DTPA による造影 MRI (DEN 開始40日目と同様)を施行した。肝実質のIn phase / out of phaseの比では、脂肪肝の程度に群間で差は生じているものの統計学的に有意差はなかった。撮影後DEN投与OLETF と LETO 群から採血の後、肝臓を摘出し、連続切片を作成、HE 染色とアザン染色を施した標本を作成した。全ての個体で肝内に HCC が確認されたが両者にはその数や大きさにおいて有意な差を認めなかった。なお 標本上OLETF においては肝臓はNASH の状態と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、OLETF群においてDEN による化学発癌が助長されると考えていたが、これまでの preliminary study においてわかったことは、少なくとも生後5週齡から110日間の化学発癌の段階においては肥満・脂肪肝が必ずしも腫瘍の化学発癌の誘導を助長しないことであった。これにはDEN の投薬による負荷が肥満・脂肪肝の効果を減殺している可能性があることと、同期間においてはOLETF 群にまだ十分NASH が形成されていないことが考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画ではDEN による化学発癌を開始するのを5週齡から開始していたが、16週齢からに変更し、OLETF に十分に NASH が形成された状態から、比較的短時日にDEN による化学発癌のプロモーションを加えるように修正したい。また継続飼育中のDEN を投与しなかった対照群 OLETF が現在飼育7ヶ月目を迎えており、この群において脂肪肝の定量を2014年5月中に行い、同週齢のLETOを新たに少数購入し脂肪肝の程度をMRI にて比較評価することにより、OLETFにおいて十分な NASH の状態にあるかどうかを念のために確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Preliminary study において、LETO 並びに OLETF群間にDEN による化学発癌に対して予想外の反応が見られたため、これの原因解明が必要であり、薬理学的介入時期の変更も迫られる等、年度中に本実験の開始に踏み切れなかったためである。 現在飼育中の対照群OLETFの MR 撮影を施行し、標本の検討を行った上で、薬理学的介入時期の修正を行い、本実験を可及的速やかに開始する。
|