2013 Fiscal Year Research-status Report
外傷性肝後面下大静脈損傷に対する新たな血管内治療法の開発
Project/Area Number |
25461881
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井戸口 孝二 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10278202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅人 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (10457096)
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90622027)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管内治療 |
Research Abstract |
当研究の目的は、外傷性肝後面下大静脈損傷に対する新たな治療法の開発であり、血管内からの圧迫止血が可能となる新たな血管内治療デバイスの開発を目指している。 当初の計画通り、第一段階として、ブタを用いてカテーテル形状の違いによる下大静脈圧ならびに循環動態の変化を検証した。5mm~8mm径の気管チューブに、1.5mm~4mm径の穴を作成した(穴の数:5、7、11、17、21、32個)。全身麻酔下にブタを開胸・開腹し、腎下部にて下大静脈を切開し、上記チューブを順に挿入した。肝後面下大静脈においてバルーンを拡張させ、下大静脈血流は側孔を介してのみ流れる状況を作り、バルーン閉塞前後の下大静脈圧、心拍出量、血圧の変化を測定した。その結果、チューブの側孔を介した血流のみでは循環の維持が困難であるとの結論に達し、デバイス形状を変更する方針とした。 第二段階として、ブタを用いて、外傷性肝後面下大静脈損傷モデルを作成した。全身麻酔下にブタを開腹し、エコーガイド下にエラスター針で主要な血管を回避したルートで肝後面下大静脈を穿刺した。ガイドワイヤーを介してPTAバルーンを挿入し、下大静脈刺入部から肝内のルート全長にかけてバルーン拡張した。下大静脈造影および造影CTにて、肝後面下大静脈損傷を確認し得た。 上記第一段階の結果を踏まえ、下大静脈血流を確保した状態での新規デバイスの作成を検討し、まずはステントグラフトによる肝後面下大静脈損傷に対する止血効果を検討した。7頭のブタに対し、肝後面下大静脈損傷を作成し、企業性ステントグラフト(aortic cuff)を留置した。術前計測した下大静脈径の平均21.5%のオーバーサイズ、近位・遠位のlanding zone 平均15.1mm・24.1mmにて、全例止血に成功した。 今後は、これらの結果を踏まえて、引き続きデバイス開発を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度中に新規デバイスを作成する予定であった。しかし、予備実験結果よりデバイス形状の変更を余技なくされたため、当初の計画とは異なる実験を試行した。この実験により、新規デバイス開発への足がかりが得られたので、平成26年度中にデバイスの完成を目指している、 一方、当初の計画では平成26年度に施行予定であったブタ外傷性肝後面下大静脈損傷モデルの作成を前倒しで行い、これに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度中に、新規デバイスを作成する。その後、平成27年度にかけて、ブタ外傷性肝後面下大静脈損傷モデルに対して、新規デバイスによる止血効果を確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第一段階の実験結果をもとに、実験計画を一部変更し、前倒しで第二段階の実験に取りかかった。よって、当初の予定よりも実験にかかる支出が増える見込みであり、前倒し支払請求を行った。その後、一部の実験を26年度に行わざるを得なくなり、結果として平成25年度末の時点で、562965円の次年度使用額が発生している。 次年度使用額562965円と26年度分を合わせた資金をもとに、現在継続中の新規デバイス開発にむけた実験を行う予定である。
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