2014 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫の治癒向上を目指した照射法探索のための基礎と臨床の融合型研究
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25461929
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60332350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70588269)
中村 香織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40339023)
河野 佐和 東京女子医科大学, 医学部, 医療練士研修生 (80645820)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 膠芽腫 / 放射線抵抗性 / 放射線治療 / 新規照射法の開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、悪性神経膠腫の予後因子に放射線治療に関するものがあるか確認し、より良い照射法を模索するものである。そこで、本学で手術を行い標準的照射を施行した悪性神経膠腫例で、2003年~2005年(前期)ならびに2008年~2013年(後期)の年代別に治療成績を検討した。とくに、本研究期間である後期は、これまで確認した再発した根拠とその妥当性を固定した。後期は膠芽腫93例、Grade3 50例、前期は33例、27例であった。膠芽腫は生存期間中央値16か月から25.6か月、Grade3も3年生存率で75.4%から82.8%に改善し、Grade3は予後改善が見えてきた。また、2008年からは新規照射法である強度変調放射線治療(IMRT)を、腫瘍の近傍に線量制約臓器(視交叉/視神経、脳幹、眼球等)がある症例に適応し、線量制約臓器がない症例は以前と同様に3次元原体照射(3D-CRT)で治療を行った。治療法による成績は、膠芽腫ではIMRT(35例)で生存期間中央値27.4か月で3D-CRT(58例)24.1か月、Grade3でもIMRT(20例)で3年生存率89.1%で3D-CRT(30例)80.7%と差はなかった。この中の再発例で、今まで同様に投与線量と再発部位を評価する研究を継続している。ただ、結果も今まで通り再発部と投与線量不足の関連はなく、照射法の比較でも線量分布が良いIMRTで治療成績の改善がないことから、線量と再発部位との関連についての研究は線量分布の良いIMRT例のみで検討している。とくに、治療開始前のMET-PET等の機能画像と再発部との関連をより詳細に評価し始めた。一方、標準的投与線量(60Gy/30回)の範囲では、線量不足が再発原因でない可能性も少なくないため、治療感受性や予後因子である染色体1p/19qLOHの有無、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化の有無、IDH-1/2の変異の有無、p53status、EGFR変異等を、手術標本でFISH、免疫染色、各種PCR法などで進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度が、電子カルテや画像サーバーの機器変更のために、再発の確認に時間を要してしまったが、平成26年度は、再発や予後のデータ確定や治療成績の算出のみでなく、染色体1p/19qLOHの有無、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化の有無、IDH-1/2の変異の有無に加え、p53status、EGFR変異などについての検討も予定通り開始し、順調に進んでいる。総合的に考えれば、平成25年度の遅れを取り戻しつつ、順調に進展していると考えてよいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
このままのペースで研究を進めることが重要と考えている。ただ、線量と再発部位との関連についての研究は、線量集中性の高いIMRTでの再発例のみに限定して進めているが、IMRTの線量分布は複雑なため、1例の検討に要する時間が非常に大きいことが問題となっている。どこまで簡略化可能かどうかは、研究をすすめながら適宜検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成25年度では、本学の電子化カルテや放射線診断システムや放射線治療システムの変更に伴い、画像評価を伴う研究のタイミングが遅れてしまったこと等から、平成26年度への若干の研究費の積み残しが生じてしまった。その影響で、平成27年度にも研究費の残額があるが、研究の進展は順調に回復してきており、積み残し金額も平成25年度よりも減額している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進展は順調に回復しており、積み残し金額も平成25年度よりも減額しているので、このまま研究が順調に進み、予定通りの結果が出れば、海外での学会発表に加え、英文論文作成や投稿などの費用に使用することも考えている。
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[Presentation] 脳腫瘍2014
Author(s)
前林勝也
Organizer
日本放射線腫瘍学会 夏季セミナー
Place of Presentation
日光東照宮(栃木県・日光市)
Year and Date
2014-08-30 – 2014-08-31
Invited