2014 Fiscal Year Research-status Report
炭素イオン線による新しい乳癌治療法開発のための基礎研究
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25461935
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
唐澤 久美子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 第3治療室長 (60214574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 助教 (40424246)
今井 高志 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, プログラムリーダー (50183009)
徳田 恵美 順天堂大学, 医学部, 助教 (70621960)
藤田 真由美 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (80580331)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳癌 / 放射線感受性 / 炭素イオン線 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、X線感受性が低いと考えられている、炎症性乳癌などで同様の検討を行うことで、全ての乳癌に対して炭素イオン線照射が有効と期待できるか検討をした。また、炭素イオン線照射が浸潤能に及ぼす影響を調べ、炭素イオン線照射が転移抑制に及ぼす影響を基礎的に検討した。 使用した乳癌細胞株は、Luminal-HER2-negative: MCF-7、Basal-like: MDA-MB-468、炎症性乳癌: SUM149 (ER-/PR-/Her2-)である。照射ビームとしては、炭素イオン線(290 MeV,mono, LET 80KeV/µm)を 0.5, 1.0, 1.5, 2.0 Gy、または対照として、X線(200 keV, 20 mA, 60 FSD)を 1.0, 2.0, 3.0, 4.0 Gy照射した。 まず、炎症性乳癌由来細胞株(SUM149)を用い、HDSアッセイを行った。他の乳癌細胞株と同様に、炭素イオン線では生存曲線の肩はなく直線的であった。また、D10値で比較したX線に対する炭素イオン線のRBEは2.4であった。この結果から、炭素イオン線は炎症性乳癌の細胞株においても効果的であると推察された。 次に、乳癌細胞の遊走・浸潤能について、boyden chamber法を用い実験を行った。まず、3種の乳癌細胞株を用い、元々の浸潤能を調べたところ、MDA-MB-468では全体のうち浸潤する細胞の割合が約0.8%と低かったのに対し、SUM149では約7%と高かった。MCF7の浸潤能は非常に低く、検出限界以下だったため、解析対象から除外した。次に、MDA-MB-468及びSUM149の浸潤に対するX線または炭素イオン線の影響を調べたところ、炭素イオン線照射はX線照射に比べ、両細胞株の遊走・浸潤抑制により効果的であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の予定を全て実行でき、さらに平成27年度に予定していた乳癌細胞の遊走・浸潤能については予定以外の細胞でも行う事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
乳癌への重粒子線治療の適応の拡大に関する基礎データを収集するため、これまでの細胞株に加え、炎症性乳癌由来細胞株 SUM149(ER-/PR-/Her2-)、浸潤性小葉癌SUM44(ER+/PR+/Her2+)、正常乳腺細胞MCF10Aを加え乳癌細胞について基礎的検討を行う。 炭素イオン線と対照とするX線照射による生存曲線をコロニー形成法とHDS(High-Density Survival) アッセイ法にて解析し、炭素イオン線とX線の照射効果の差異、線量依存性の差異を検討する。 数種類のヒト乳癌細胞株を用い、照射後の遊走•浸潤能の変化を調べる(Transwell permeable support, Costar)。昨年度までの研究で、炭素イオン線照射は、MDA-MB-468及びSUM149の遊走・浸潤抑制に効果的であることを確認しているが、平成27年度は、その再現性を確認すると共に、炭素イオン線による浸潤抑制機序を調べる。基礎的検討の結果を臨床例の病理学的結果や有害反応と比較検討することにより、乳癌における炭素イオン線治療の最適な方法を基礎から検討する。
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Causes of Carryover |
物品購入手続きに時間がかかったため、支払いが次年度に繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品を購入し実験に使用している。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 乳がん重粒子線治療の初期経験2014
Author(s)
唐澤久美子, 原田麻由美, 尾松徳彦, 福田茂一, 古場裕介, 鎌田正, 齋藤光江, 山田公人, 山本尚人, 荒川敦
Organizer
日本放射線腫瘍学会第27回学術大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2014-12-11 – 2014-12-13
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