陽子線治療における線量モニタ校正定数の照射条件依存性の研究

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25461936
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Shizuoka Cancer Center Research Institute
• Principal Investigator: 加瀬 優紀 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 副主任研究員 (70455385)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山下 晴男 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (20399588) ; 坂間 誠 日本大学, 生産工学部, 助教 (80455386)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 陽子線治療 / モニタユニット / 線量測定

Research Abstract

陽子線治療では、医師が決めた投与線量を精度良く標的に照射する必要があり、ビーム軸上流に設置された線量モニタで照射する線量を制御している。標的への投与線量と、線量モニタの出力値の間には比例関係があり、その比例定数のモニタ校正定数（Gy/count）はビーム条件によって異なる。治療ビーム条件は患者によって様々で、現在はモニタ校正定数を精度良く計算することが難しいため、ビーム条件毎に測定してモニタ校正定数を求めている。しかし、測定に時間がかかることや測定ミスの可能性があるため、本研究では単円ワブラ法の陽子線ブロードビーム照射法においてモニタ校正定数を精度良く算出する計算モデルの確立を目的とした。
今年度は単円ワブラー照射法の陽子線治療ビームにおいて、ワブラ半径、散乱体厚、リッジフィルタ、レンジシフタといった機器条件によるモニタ校正定数への依存性を調べるため、線量測定用の線量均一性の高い条件で線量測定を行った。さらに過去に行った測定結果も考慮するため、それらをデータベースにまとめた。これらの測定結果に基づいて治療ビーム条件でのモニタ校正定数を算出するための計算モデルを作成した。横方向の散乱とSOBP幅の依存性を考慮してモデル計算すると、陽子線治療ビーム条件においてモデル計算と測定結果は測定誤差と同等の精度（約0.5%）で一致することが確かめられた。この結果から、今まで治療用照射ビームごとに必要とされていた線量測定を省略したり、新規ビーム条件の線量校正定数を予想することが可能になると期待できる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度の研究計画に従い、治療で頻繁に使われるビーム条件を優先して測定を行ったことと過去の測定結果をデータベース化して利用したことで、モデルの作成に十分な測定点数を得ることができた。ただし計算モデルについては、エネルギー、ワブラ半径、ＳＯＢＰ幅、レンジシフタ厚の関数としてはモデル化できたが、照射野サイズや形状による依存性はうまくモデル化できていないので平成26年度も継続して研究することとした。

Strategy for Future Research Activity

昨年度に提案した単円ワブラ陽子線治療のモニタ校正定数の計算モデルによって線量が均一な場において投与線量を照射する線量モニタカウント値を計算することができるようになった。今後は線量が不均一な場での計算に拡張して、治療計画によるモニタカウント計算にも応用可能にするため、コリメータを使用した場合の照射野効果や補償フィルタの有無による基準点の線量の影響を調べて計算モデルを作成する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

メールや電話の活用により計画より研究会議の出張回数が少なくて済んだこと、3D Pinpointチェンバが予定より安く購入できたこと、データベース作成に時間を多く費やしたのでデータ解析のための備品の購入を遅らせたことによる。
研究をスムーズに進めるための線量測定用備品、データ解析のための備品を購入する。また論文作成や学会発表の費用に使用する予定である。