2014 Fiscal Year Research-status Report
移植腎Klothoの腎移植後ミネラル代謝における役割と腎・生命予後への影響
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25461962
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中村 道郎 東海大学, 医学部, 准教授 (00246547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
角田 隆俊 東海大学, 医学部, 准教授 (50276854)
白井 博之 国際医療福祉大学, 大学病院, 准教授 (90346338) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Klotho / 腎移植 / ミネラル代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植でもたらされた移植腎Klothoの、移植患者におけるミネラル代謝や移植腎機能の影響を解明することと、生体腎ドナーにおいては術後のミネラル代謝や腎機能とKlothoの関連を解明することを研究の目的とする。 対象・方法:今年度においては、同意の得られた腎移植患者15名、生体腎ドナー15名から、腎移植後の期間を定めて採取した血清中の可溶性Klothoなどを測定し前向き縦断的研究を始めた。 結果:腎移植患者の可溶性Klotho値の推移を、移植前値を基準に期間を追って測定すると、腎移植後3週間までは低下した(14/15例)。移植前値を上回った症例は、術後3ヶ月の時点で15例中10例、6ヶ月の時点では15例中12例であった。また腎提供ドナーにおいては、提供前値から術後低下したまま持続し、6ヶ月の時点で前値に回復したのは15例中2例のみであった。 考察:慢性腎不全状態にある腎移植患者の移植前のKlotho値は低値で、術後1ヶ月は低値のまま経過するが、3ヶ月過ぎに上昇し6ヶ月の時点では前値を上回る傾向が認められ、移植腎Klothoの血中への移行の可能性を推察できる。一方、生体腎ドナーの血清中の可溶性Klotho値は術後低下する。その後上昇傾向を示すが個体間のばらつきがかなり大きい。腎移植患者のKlotho値の凡その推移が判明したが、患者との生命予後との関係について今後検討が必要である。 今後の計画:腎移植患者から採取した移植腎生検について、Klothoの発現程度を半定量化して評価する。最終的に評価すべきアウトカムは腎予後・生命予後であるが、今研究の期間は短いため、血清Klotho値および腎組織Klotho発現に影響を与える背景因子や術後腎機能、ミネラル代謝マーカーを解析する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究への参加に同意を得ることができた腎移植患者・ドナー数が減少した。 血清Klothoの測定は施設内で行われているが、測定精度をより改善するためにある程度期間を要した。 腎生検組織の免疫化学的染色方法の条件設定が難しく、確立するまでに期間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記した今後の検討課題を明らかにしていくために、確立すべき測定方法、組織の染色方法に関してほぼ達成していると考えている。 腎生検組織の染色の半定量的評価を確立するとともに、検体サンプル数を増加させ、より信頼度の高い解析結果を導き出す必要がある。サンプル数を増やした上で、解析を効率的に行っていく予定である。 腎予後や生命予後についての解析については、腎移植の成績が良好で、研究期間において、腎機能低下症例、死亡症例が極めて少ないため、腎機能やミネラル代謝マーカーの変化とKlothoとの関連性を解析し結果を導く予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった病理標本の染色用試薬の一部について、在庫があったことで次年度での購入に予定変更した。一部のサンプルで外部施設への測定を予定していたが、充分なサンプル数が整ってからの委託を予定したため次年度へ繰り越した。 27年度には購入、委託が必要と考えられ、繰越金を充当させる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在までに集められた予備的研究、横断的研究をもとに、26年度は縦断的研究をはじめ、さらに生検した組織標本での組織学的解析を加えていく予定である。 免疫組織学的な解析に必要な試薬の購入や、外部施設へ測定依頼は必要不可欠と考えられ、次年度へ繰り越した金額を充当させる予定である。
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Research Products
(1 results)