2013 Fiscal Year Research-status Report
食道癌における病理所見“Tumor budding”の機序解明と新規予後因子同定
Project/Area Number |
25461977
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小池 聖彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10378094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 豪 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30467287)
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10345879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | budding / 食道癌 / L1 / EMT / 予後因子 |
Research Abstract |
われわれは食道癌におけるtumor buddingの臨床的意義を報告し、また、胃癌においては接着因子としてのL1CAMが予後因子であることも報告してきた。本研究においては、食道癌におけるtumor buddingの現象解明、また、上皮間葉転換(EMT)とも関与していると言われているL1CAMとの相関を研究するものである。 これまでわれわれは、食道癌細胞株と教室における68例の食道癌切除検体を用い、腫瘍部におけるL1CAMのmRNA発現を定量PCR法にて測定してきた。さらにまた、EMTの代表的マーカーであるE-cadherinとvimentinのmRNA発現も測定してきた。そして、食道癌切除検体のHE染色より、tumor buddingの評価を行ってきた。 E-cadherinとvimentinの発現比により「EMT status」を決定し、臨床データとの解析を行ったところ、予後と有意に相関していることが判明した。また、EMT statusはtumor buddingとも有意に相関していることが分かった。一方、食道癌におけるL1CAMの発現に関しては、現在、データを解析しているところである。 さらにまた、胃癌細胞株においては、L1CAMの発現を抑制することにより、増殖能、浸潤能、遊走能が有意に抑制されることが分かったため、食道癌細胞株においても同様の実験を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述したように、食道癌細胞株と教室における68例の食道癌切除検体を用い、L1CAMのmRNA発現を測定してきた。さらに、上皮間葉転換(EMT)の代表的マーカーであるE-cadherinとvimentinの発現も測定してきた。そして、食道癌切除検体のHE染色よりtumor buddingの評価を行ってきた。 特に、tumor buddingとEMTとの相関においては解析も終了したため、現在、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、食道癌におけるL1CAMのmRNAレベル、タンパク発現レベルを、それぞれ定量PCR法、免疫染色にて確認し、これらの結果と臨床病理学的因子・予後との相関を統計学的に解析する予定である。 さらにまた、L1CAMによる機能解析を行う予定である。L1CAMが高発現している食道癌細胞株を数種類選定し、siRNAによりL1CAMの発現抑制を行うことによって、細胞増殖能、浸潤能、遊走能に及ぼす影響を検討する。さらに、下流シグナルの変化として、ErkとAkt経路におけるタンパクリン酸化をウェスタンブロット法により調べる。EMTとも相関があると考えられるため、EMT転写因子(Twist/Snail/Slug/Zeb-1/Zeb-1など)に対する影響に関しても調べる。 化学療法に対する感受性に関しても検討する予定である。食道癌臨床として汎用されている、5-FU、CDDPなどの薬剤を用い、L1CAMの発現抑制をすることにより、薬剤感受性に対する変化を検討する。また、L1CAMのsiRNAと抗腫瘍薬との併用により、相加相乗効果の有無についても解析する予定である。
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