2014 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹膜播種における腹腔内マクロファージの機能解析と造腫瘍性についての実験的検討
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25462015
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伏田 幸夫 金沢大学, 医学系, 准教授 (10301194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 真市 金沢大学, 医学系, 助教 (90272955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍関連マクロファージ / 胃癌腹膜播種 / 癌性腹水 / α1-酸性糖蛋白 (AGP) / パクリタキセル / TLR4 |
Outline of Annual Research Achievements |
① ヌードマウスの腹腔内に腹膜播種高転移株であるOCUM-2MD3を1x107個注入し、無処置で観察する群(コントロール群)、パクリタキセルを5mg/kg を尾静脈から7日目および14日目に全身投与する群(パクリタキセル単独投与群)、およびパクリタキセルに加え、7日目から16日目まで連日エリスロマイシン5mg/kgを皮下投与(全身投与を想定)する群(エリスロマイシン併用群)の3群を作成し、17日目に犠牲死させ、腹膜播種結節数と腫瘍重量を測定し比較検討した。パクリタキセル併用群のみ、コントロール群に比較して有意に腫瘍重量の減少を認めた (p=0.011)。 以上より、エリスロマイシンによるパクリタキセル投与における抗腫瘍増強効果をin vivoにおいても確認した。 ② ヒト単球細胞株THP1をPMA (Phorbol-12-myristate-13-acetate)で処理することでM2マクロファージを誘導した。このTHP1由来M2マクロファージを胃癌細胞株MKN45およびTMK1と共培養(非接触)したところ、western blottにおいてM2マクロファージマーカーであるCD204の高発現が確認されたが、M1マクロファージマーカーであるNOS2の発現に変化を認めなかった。CD204の発現はMKN45の培養上清の添加においても増強することを蛍光免疫染色においても証明しえた。さらに、STAT系シグナル (signaling transducer and activator of transcription pathway)において、STAT1は増殖抑制的に、STAT3は増殖促進的に作用すると考えられているが、THP1由来マクロファージとTMK1を共培養すると、THP1由来マクロファージにおけるSTAT3のリン酸化が誘導され、増殖促進的に機能することが示唆された。 以上より、腫瘍に遊走してきたマクロファージが微小環境下における癌細胞との相互作用によってM2マクロファージへ形質転換し腫瘍増殖促進的に作用すると考えられた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学院生2名が精力的に実験を推進しており、さらに当初の仮説におおむね即した実験結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最近になり、パクリタキセルがTLR4 (Toll like receptor 4)のアゴニストになりうることが報告された。TLR4の活性化がマクロファージの表現型に関与することが知られているため、今後、パクリタキセル存在下におけるマクロファージの表現型の変化について検討を続ける。 また、研究結果を国内外の学会発表および論文発表するための準備にとりかかる。
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Research Products
(1 results)