2014 Fiscal Year Research-status Report
新規抗酸化剤ETS-GSによる潰瘍性大腸炎治療法の開発
Project/Area Number |
25462030
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
當寺ヶ盛 学 大分大学, 医学部, 助教 (40423701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 講師 (00404369)
白石 憲男 大分大学, 医学部, 教授 (20271132)
平塚 孝宏 大分大学, 医学部, 助教 (20600886)
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
岩下 幸雄 大分大学, 医学部, 講師 (60534203)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ETS-GS / ケモカイン / リンパ球 / MCP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の目的」; ETS-GSによる大腸炎改善効果の機序を解明する 「研究成果」; 研究の目的の小項目のひとつである「免疫担当細胞の発現に影響を与えるのか否か」に対し以下の研究を行い成果を得た。免疫担当細胞から産生されるケモカインに着目し、単球/マクロファージ、線維芽細胞あるいは血管内皮細胞により産生され、リンパ球(主として単球)に対して作用するMCP-1について検討した。ELISAにてDSS誘導大腸炎モデルマウスの血清中のMCP-1は、正常マウスと比較してETS-GS投与群では有意に低下した(正常マウス群 vs. ETS-GS群;156±9.0 vs. 107±10.1 pg/ml, p=0.0039, 各n=6)。さらにDSS誘導大腸炎マウスにおいてもETS-GSの投与により有意な低下を認めた(DSS群 vs. DSS+ETS-GS群;67.5±13.6 vs. 52.4±4.30 pg/ml, p=0.0163 ,各n=6)。 「研究成果の意義、重要性」; ケモカインは、リンパ球の炎症腸管へのマイグレーション誘導に関わるとされ、ケモカイン欠損マウスではDSSによる大腸炎の軽減が報告されている。またケモカイン拮抗薬がDSS腸炎誘導を抑制することも報告されており、ケモカインは炎症性腸疾患の機序解明において重要である。MCP-1は、MCAF(monocyte chemotactic and activating factor)と呼ばれ、単球に対する走化性の亢進、ライソゾーム酵素や活性酸素の放出亢進、IL-1およびIL-6の産生誘導など、単球の活性化するほか、好塩基球による化学伝達物質の遊離促進、T細胞走化性活性を有する。今回の結果はETS-GSが全身のMCP-1濃度にも影響を及ぼすことを示しており、すなわち、DSS誘導大腸炎改善効果の機序としてMCP-1抑制に伴うリンパ球の抑制を介した機序が関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ETS-GSの大腸炎改善における機序解明に、血清サイトカイン測定により新たな結果が導かれたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ケモカインの抑制効果の結果から、やはりリンパ球をはじめとした各種免疫担当細胞への影響が、本化合物の作用機序であることが強く示唆される。今後は他のサイトカインの動態変化測定による制御性T細胞への関わりや、FACSを用いたETS-GSのリンパ球への影響(population、増減)を調べる予定である。
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