2013 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌浸潤・転移におけるHCGβの機能解析とその臨床応用
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25462044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 重紀 北海道大学, 大学病院, 助教 (30533674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 典彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399894)
西原 広史 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50322805)
蒲池 浩文 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60374237)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸癌 / HCGβ / 分子機能解析 |
Research Abstract |
(1)HCGβの臨床的意義:HCGβの臨床病理学的意義を調べるために、2002-2004年の間に当科で手術を施行した大腸癌患者80例を対象として免疫染色でHCGβの発現を調べ、臨床病理学的因子との関係を統計学的に解析を行った。結果は大腸癌80例中13例(16.3%)にHCGβが発現しており、いずれも発現部位はinvasive frontであった。HCGβ発現は、分化度、リンパ節転移、リンパ管侵襲と関連を認めた(p<0.05)。HCGβ発現群では非発現群と比較し、有意に術後生存率が低く、無再発生存も不良な傾向を認めた。以上から、大腸癌におけるHCGβ発現は臨床的にはリンパ節転移と不良な予後に関連していた。 (2)HCGβ過剰発現細胞株の樹立と検討:5種類の大腸癌細胞株を用いてWestern blot法を行い、HCGβ高発現株であったWiDr, CaCo2から得られたHCGβのmRNAをCloningし、レトロウイルスベクターである、pCX4-puroベクターに挿入後、感染させHCGβ過剰発現大腸癌細胞株(LoVo-HCG, HCA7-HCG, T84-HCG)を樹立した。HCGβ過剰発現大腸癌細胞株はコントロール大腸癌細胞株と比較し、invasion assayで有意に浸潤能が高く、Western BlotにてE-cadherinの減少、Snail2の増加を認め、EMTに関与することが示唆された。 (3)PCR arrayによる解析:HCGβ導入大腸癌細胞株においてEMT PCR arrayを行い、誘導された遺伝子の解析を行った。結果としては、HCGβ発現によってTwist1(3.6倍)、Snail2(2.1倍)が過剰発現しており、Twist1、Snail2を介してEMTに関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床症例からHCGβの臨床的意義を確認し、さらにHCGβ強制発現大腸癌細胞株を作成し、HCGβによりSnail、Twistが誘導されていることをPCR arrayで同定し、さらにWestern blottingにより蛋白の発現も確認した。 しかし、HCGβ発現細胞株によるマウス皮下移植、肝転移、腹膜播種モデルの作成については、当院動物実験室の改修工事の影響で予定通りには進んでおらず、まだ完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)HCGβ過剰発現大腸癌細胞株移植によるマウス皮下移植、肝転移、腹膜播種Model作成 BALB/CA Jcl-nu/nuヌードマウス(6週齢,メス)に、HCGβ発現大腸癌細胞を皮下注射、門脈注射もしくは腹腔内投与(1×106個/ 200ul)し、HCGβ発現大腸癌による皮下腫瘍、肝転移、腹膜播種のモデルを確立する。腫瘍の増大、転移数などControlの細胞株と比較・観察し、大腸癌においてHCGβの発現が癌細胞の生着、転移および、EMTへの誘導に関しどのような役割を担っているかを検討する。 (2)癌移植モデルにおける抗HCGβ抗体の治療効果の検討 確率された大腸癌肝転移、皮下腫瘍、腹膜播種モデルを用いて、抗HCGβ抗体(50mg/kg, different concentration)を投与(iv, ip)し、その治療効果の検討を行い、治療が有効となる対象を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HCG過剰発現大腸癌細胞株移植によるマウス皮下移植、肝転移、腹膜播種Modelの作成作業が進行中であるが、当院動物実験施設の改修工事によってマウスの使用匹数に制限がかかり、実験が予定通りに行えなかったため、マウス購入費用および飼育費用分が使用できずに次年度使用額が生じた。 HCG過剰発現大腸癌細胞株移植によるマウス皮下移植、肝転移、腹膜播種Modelの作成作業を完了するための、マウス購入費用および飼育費用に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)