2015 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌浸潤・転移におけるHCGβの機能解析とその臨床応用
Project/Area Number |
25462044
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 重紀 北海道大学, 大学病院, 助教 (30533674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 典彦 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399894)
西原 広史 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50322805) [Withdrawn]
蒲池 浩文 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374237)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸癌 / EMT / 浸潤・転移 / hCGβ |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:癌細胞の転移能獲得には上皮間葉転換(EMT)が重要であり、EMTを誘導する代表的な分子にTGFβがある。我々はTGFβと発生学的に共通の塩基配列を有するChorionic gonadotropinβ(HCGβ)に注目した。HCGβは本来絨毛性組織で産生されるが、低分化の消化器癌における産生も報告され、その発現は予後不良とされている。 目的:大腸癌におけるHCGβ発現の生物学的意義およびEMTへの関与につき検討する。 方法:臨床病理学的解析として、大腸癌91切除症例を対象とした。抗HCGβ抗体にて免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的因子、予後との関与を検討した。また分子病理学的解析として、作成したHCGβ過剰発現大腸癌細胞株とコンロトール大腸癌細胞株の増殖能、浸潤能を比較検討し、EMT PCR Arrayを用いた網羅的解析にて、HCGβ過剰発現により誘導された遺伝子の解析を行った。さらに、動物実験として、ヌードマウスにHCGβ過剰発現大腸癌細胞株を腹腔内注射(腹膜播種モデル)し、コントロール大腸癌細胞株との腫瘍形成能の比較を行った。 結果:切除標本における検討では、大腸癌組織でのHCGβ高発現は21例(23.1 %)に認め、HCGβ高発現群は、組織学的分化度(P = 0.041)、肝転移(P = 0.016)と相関を認めた。HCGβ過剰発現細胞株における検討では、 HCGβ過剰発現大腸癌細胞株はコントロール群と比較し、有意に浸潤能が高かった(P<0.05)。また、EMT PCR Arrayを用いた網羅的解析にて、HCGβ過剰発現大腸癌細胞株は、Twist 1 (3.6倍)、Snail 2 (2.1倍)が過剰発現していた。また、マウスの腹膜播腫モデルにおいて、HCGβ過剰発現大腸癌細胞株は、コントロール大腸癌細胞株と比較し、有意に腫瘍形成能が高かった(P<0.005)。
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