2013 Fiscal Year Research-status Report
新規ウイルス改変による治療耐性克服と膵癌治療への応用
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25462119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江上 拓哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (40507787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水元 一博 九州大学, 大学病院, 准教授 (90253418)
仲田 興平 九州大学, 大学病院, 助教 (30419569)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レンチウイルス / MAL2遺伝子 / Nodal / HDAC1 / Sainomycin / Pirfenidone / S100A4 / ポックスウイルス |
Research Abstract |
本研究では、ウイルスベクターの新たな開発・改変、並びにそのウイルスベクターを用いて放射線、抗癌剤耐性克服とその膵癌治療への応用を目的とする。申請者らは今までDrug delivery system(DDS)としてアデノウイルスベクターによる分子生物学的治療の可能性を追求してきており、本研究は最終的にポックスウイルスを使用することを目標としている。本年度はこれまで当研究室で行ってきたマイクロアレイによる膵癌の発癌過程における癌関連分子の詳細な発現パターンの網羅的解析、そして定量的RT-PCR による、より精度の高いかつ多数サンプルを対象とした発現解析を引き続き継続した。これは放射線耐性や抗癌剤耐性についての研究から得た耐性機序、導入機序を本研究の基盤とするためである。本年度の学会発表、論文発表としては、MAL2遺伝子が膵癌遠隔転移に関与していることや、膵癌におけるNodal発現の特徴を報告しえた。膵癌細胞株におけるHiston deacetylase1やS100A4 mRNAが膵癌の放射線耐性へ関与している可能性を見出し、Salinomycinとオートファジーの関与など複数のウイルスベクターの開発・改変に応用できそうな候補を得られたことは大きい。またDDSの候補となりうるであろう報告として、Pirfenidone投与によって癌間質相互作用を抑制しうる可能性を見出している。最終的にはポックスウイルス導入を目標としているが、現在当研究室で以前より取り扱ってきていたアデノウイルスに続いて。レンチウイルスの過剰発現実験での使用を試み、ウイルス実験の精度を高めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度、当初目標としていたポックスウイルスを用いての開発には至っていない。本研究を遂行していくのに必須な抗がん剤耐性や放射線体制にかかわる因子を同定できたのは大きいが、ポックスウイルスに関しては未だ取りかかれていないため、「④遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ポックスウイルスの導入に本格的に着手する。ポックスウイルスをペプチド付加や組み替えなどにより改変し,その改変ウイルスによる遺伝子の発現状況、細胞内侵入効率を詳細に検討する。抗体付加が困難な時は,より分子量が小さいペプチド付加を試みる。新規作成したウイルスベクターのin vitro/vivo モデルでの検証として、in vitroにおける膵癌細胞への新規改変ウイルスベクターの導入効率を実際に検討し、さらにマウス膵臓癌同所移植モデルを用いて、PEG化技術にて標識したウイルスベクターを膵腫瘍内に投与し、癌組織中への移行率を経時的に比較検討する。今後、阻害剤やsiRNAの導入など併用した際の新規ウイルスベクターの移行率、発現効率の変動を詳細に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ポックスウイルスの改変に関する研究に取り掛かるのが遅れたため。 アデノウイルスで行ってきたintegrin β3 やintegrin β5 の検証を、ポックスウイルスでもendocytosisに関する機構の検索として行っていく。またポックスウイルスの改変に着手するために使用する。
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