2015 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素解析による大動脈解離破断予測およびPETによる大動脈瘤破裂指数の開発
Project/Area Number |
25462156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 紀一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80396564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 佳克 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50372298)
本吉 直孝 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (40375093)
増田 信也 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30596094)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胸部大動脈瘤 / 大動脈解離 / PET / 有限要素解析 / 液体力学 / 相当応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
すでに解析法が確立している真性胸部大動脈瘤に対する有限要素解析症例を増加させるとともに、PETによる大動脈瘤破断予測を行った。PETによる大動脈瘤破断予測は院内倫理委員会の承認を得てから、放射性薬剤を用いる臨床研究委員会の承認を得たのちに行った。対象症例として、胸腹部大動脈瘤の急速拡大する胸腹部大動脈瘤症例2例に対して行ったが、これらの症例では必ずしも動脈瘤壁のuptakeが高いとはいえなかった。一方で有限要素解析法を同症例に行った場合は、高い最大相当応力が見られた。実施症例が2例のみであったことから、PETによる大動脈瘤壁のuptakeと最大相当応力および、破裂など予後との関連は、現状では明確にはできなかった。一方で有限要素解析による相当応力の最大値は大動脈瘤破断予測に有効であると考えられた。ひきつづき有限要素解析症例を増加させ大動脈壁破断と大動脈瘤の関連に関して検討していくと同時に、有限要素解析が多くなされている大動脈弓部瘤、あるいは下行大動脈瘤での急速拡大症例でのPETによるSUV測定を行い、両者の関連性に対して検討する必要が有る。 一方で、大動脈解離に対する有限要素解析に関しては、真性胸部大動脈瘤と同様の解析法で、大動脈解離のモデル(血流腔が二腔になるモデル)を作成し、構造解析から相当応力を求める方法を検討した。しかし、大動脈解離のモデルは確立できたものの、構造として非常に複雑であり、相当応力の計算までは至らなかった。その一方で、ここで作成した大動脈解離二腔モデルは、流体力学的解析の応用に有用であった。大動脈解離の拡大破裂に関しては、血流による壁せん断応力が血管のリモデリングに寄与している可能性が高く、その解析には、構造からの解析のみよりは、流体力学的手法を取り入れた解析の方が有用である。今回確立した大動脈解離二腔モデルは、今後流体力学的解析に応用できるものとなった。
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