2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462161
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成田 裕司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60378221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 正穂 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20566989)
碓氷 章彦 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30283443)
大島 英揮 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40378188)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / 細胞療法 / 間葉系幹細胞 / エラスチン / マトリクスメタロプロテアーゼ / マクロファージ / 炎症性サイトカイン / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
1.大動脈瘤に対する骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)の静脈内投与の細胞投与量(投与回数)および投与時期による効果の差異を検討した。(1)大動脈瘤発症予防モデルによる検討:大動脈瘤誘導時にBM-MSCを投与し発症を予防した。1回投与群では大動脈瘤の発症率を抑制することができず、4回投与群では有意に発症率を抑制し、エラスチン量も多く維持され、マクロファージの発現量も少なく、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)-2および9の発現も低下していた。さらに炎症性サイトカイン(IL-1b, IL-6, MCP-1)は低下し、TIMP-2やIGF-1は増加していた。4回の投与によって炎症が制御され、大動脈瘤発症予防効果が示唆された。(2)大動脈瘤治療モデルによる検討:大動脈瘤を発症したマウスに対してBM-MSCを投与した。投与2週間目で瘤発症率および瘤径の低下、炎症性のマクロファージ(M1)の減少、抗炎症性マクロファージ(M2)は増加した。しかし、4週8週となると、その効果は減弱した。同様に、MMP-2, 9の発現も2週では低下し、4週8週ではコントロールの生食投与群と差がなかった。また、2週の時点では、炎症性サイトカイン(IL-6, MCP-1)は低下し、IGF-1, TIMP-2は増加していたが、同様に4週8週ではそれぞれ、コントロールの生食投与群と差がなかった。従って、大動脈瘤に対する細胞治療は2週間程度効果が維持されることが示唆された。 2.他組織由来細胞の効果と骨髄由来細胞との差異についての検討では、脂肪由来間葉系幹細胞の培養を確立し、皮下由来線維芽細胞も含めた三者での大動脈瘤治療効果を判定する研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)骨髄由来間葉系幹細胞療法による大動脈発症予防の研究成果は、多くの学会報告を行い、論文報告も行った。 (2)骨髄由来間葉系幹細胞療法による大動脈治療の研究成果は、日本胸部外科学会やヨーロッパ心臓胸部外科学会で発表し、論文報告も行った。 上記より、ほぼ研究は計画通り達成でき、成果発表は計画以上に達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も計画通り、多組織由来幹細胞や免疫抑制効果のある細胞を用いた大動脈瘤治療を試み、骨髄由来間葉系幹細胞との差異を検討する。 さらには、現在大動脈瘤モデルはアポリポプロテインE欠損マウスに、アンギオテンシンIIを負荷して作成しているが、他のマウスモデル(塩化カルシウムやエラスターゼを用いた)大動脈瘤モデルを用いて同様の効果が得られるかどうか検証する。最終的には大動物モデルでの検証を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定した、物品費用(消耗品費用)が若干安価で計上できたため次年度に繰り越しすることにした。 次年度以降は、大動物実験にも移行していくため、実験動物購入費用に計上しておく。
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Research Products
(7 results)