2013 Fiscal Year Research-status Report
多機能レーザー内視鏡治療機器を用いた超低侵襲内視鏡手術
Project/Area Number |
25462243
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿久津 博義 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20547955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀峰 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40633110)
岡 潔 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 関西光科学研究所 量子ビーム応用研究部門 光量子融合研究グループ, 研究主幹 (80354661)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーザー / 内視鏡手術 / 低侵襲手術 / 経鼻内視鏡手術 / 医療機器 |
Research Abstract |
1.多機能レーザー内視鏡治療機器を用いた動物実験により、対象物の焼灼・血管止血を行った。その際のレーザーの熱量の最適化に関して、さらに検討を深めるための予備実験を再度ラット大腿部と腸間膜血管を用いて行った。その結果、空気中と髄液中において、それぞれ至適レーザー照射熱量および照射時間の最適化を行った。止血の確認のために血管の流速の測定や、熱変性の確認のための温度測定も行った。動物実験終了後、周辺組織の熱変性に関して組織学的検討も行った。その結果、血管内腔面積は動静脈共にエネルギー量に比例して縮小する傾向が見られた。髄液中では動脈では30w4秒、静脈では20w2秒の照射が至適照射量と考えられ、空気中に比べ、50%程度のエネルギーの上乗せが必要であった。組織学的には、熱変性は照射血管に限局しており、レーザーの熱拡散や貫通による周囲組織損傷はなかった。今後はブタ脳室内において照射実験を行い、さらなるレーザーの照射条件の最適化をはかる予定である。 2.今後の大型動物における脳室鏡手術実験を行うにあたり、ファイバ先端を屈曲できるようにするための先端屈曲用鉗子を、共同研究者との入念な検討ののちにデザインし、作成した。その際、照射しながら水蒸気や煙を吸引できるように吸引のチャンネルを作成し、また鉗子の内腔をファイバーが滑らかに動けるように、還流ができるようにした。今後、この鉗子を用いて実際の手術シミュレーションを重ねながら、機器の改良を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先端屈曲用鉗子の作成に当たり、デザインおよび機能の選定、材料の入手に時間がかかり、作成が遅くなった。また、レーザーの至適照射条件の設定に関しても予想よりも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
先端屈曲用鉗子は完成しており、レーザー照射条件もほぼ設定できたため、あとは、大型動物を使った生体実験を進める。 1.ブタ生体経鼻内視鏡、脳室鏡手術実験 全身麻酔下にブタに経鼻内視鏡手術、脳室鏡手術を行う。Ybレーザーの照射実験を行い、最適な照射条件を確定する。組織学的検討も行う。空気中と髄液中、髄液中でも透明な場合と濁っている場合、拍動の有無などの異なる条件下での比較、様々な組織を焼灼する際の至適なレーザー出力、照射時間、対象物までの照射距離、対象物の目標温度を設定する。照射部の組織学的評価により、熱変性の範囲や深達度、周囲組織の熱変性も確認する。 2. ブタにおける神経内視鏡手術実施実験 生体ブタにおける、経鼻内視鏡手術、脳室鏡手術を繰り返し行う。その際に様々な条件、例えば脳室内に空気が貯留した状態や、髄液が濁っている場合、髄液の拍動で対象が動いている場合でも確実にレーザー照射による凝固止血や組織の焼灼が可能になるようにしていく。また、レーザーによる組織の貫通の恐れのある場合は組織の奥側に遮蔽するものを挿入するなどして安全性を高める工夫も検討する。
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Research Products
(5 results)