2015 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫に対するWT1ペプチドワクチン療法における免疫逃避の克服
Project/Area Number |
25462257
|
Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
千葉 泰良 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, 医長 (90533795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 昭博 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10372608)
橋本 直哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90315945)
高野 浩司 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (90649203)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | WT1 / ペプチドワクチン / メチオニン-PET / TSPO-PET / グリオーマ / GBM / PD-L1 / IDO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「担GBMマウスモデルを用いた免疫逃避機構の解析」の動物実験を主に行った。C57BL/6マウス脳にWT1過剰発現グリオーマ細胞株GL261を移植し、Day10にMRIを撮影して腫瘍が生着したマウスを選別した。それらのマウスををワクチン群とコントロール群に分け、ワクチン群ではWT1ペプチドDay12より週1回皮内に投与し、Day50までfollowした。followの途中でMRIを経時的に撮影して腫瘍体積の変化、また、メチオニン-PETやTSPO(Translocator Protein)-PETの集積の変化を確認するとともに、生存期間の検討、また、一部の個体で脳腫瘍を採取し免疫組織学的検討を行った。その結果、ワクチン群で生存期間の有意な延長を認めたが(p=0.028)、MRI上、全例で腫瘍が増大した。メチオニン-PETにおいても、腫瘍の増大に伴って両群とも集積が増大したが、ワクチン群においてはプラセボ軍と比較して集積値の上昇が緩徐であった。TSPO-PETによる解析では、両群間で明らかな差は見られなかった。免疫組織学的検討では、ワクチン群において腫瘍内に浸潤したCD3+CD8+細胞の有意な増加を認めた(p=0.006)。さらに両群でPD-L1、IDOなどの免疫逃避機構に関与する分子の発現が確認された。以上の結果から、担GBMマウスモデルにおいて、WT1ワクチンの投与は生存期間の延長に寄与することが証明された。その理由として腫瘍内にキラーT細胞が浸潤して抗腫瘍効果を発揮するものと思われるが、マクロファージやミクログリアなどの免疫細胞のトレーサーであるTSPOの集積に変わりがなく、両群間にマクロファージやミクログリアの集積が変化ない可能性が示唆された。PD-L1、IDOなどの免疫逃避機構に関与する分子の発現が両軍ともに認められることと関連している可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、発がんプラスミドベクターを用いたGBM自然発生モデルの作成を確立して動物実験を行う計画であったが、当モデル作成の協力者と共に実験を進めていく過程で、生後2日以内にWT1過剰発現プラスミドを導入すると免疫寛容が成立して、脳腫瘍発生後にWT1ペプチドを投与してもWT1に対する免疫反応が惹起されないということが判明した。そのため、当初の予定を変更してWT1過剰発現遺伝子を導入したマウス脳腫瘍細胞株を使用した実験に変更することになった。それによって実験が遅れ気味になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で、担GBMマウスモデルの確立、WT1ワクチン投与による生存期間の延長、PD-L1、IDOなどの免疫逃避機構に関与する分子の発現が確認された。現在、PD-L1の発現が最も免疫逃避機構に影響していると考えている。次年度は、PD-L1抗体の投与を含め、複数の免疫逃避関連因子の抗体などを投与して、実際に生存期間の延長に寄与するかなどの実験を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
実験計画がやや遅延しているため、研究機関を延長した。そのため、本年度の予定していた実験ができず、次年度に行う予定となり、そのための費用が余った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験の続き、病理組織診断などに使用すると共に、成果の学会発表旅費や論文執筆に関する費用に充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Presentation] New challenge of WT1 peptide vaccination for malignant glioma2015
Author(s)
Akihiro Tsuboi, Naoya Hashimoto, Naoki Kagawa, Yasuyoshi Chiba, Manabu Kinoshita, Noriyuki Kijima, Yoshihiro Oka, Shuichi Izumoto, Norio Arita, Soyoko Morimoto, Fumihiro Fujiki, Hiroko Nakajima, Naoki Hosen, Yusuke Oji, Sumiyuki Nishida, Satoshi Morita, Junichi Sakamoto, Toshiki Yoshimine, Haruo Sugiyama
Organizer
The 8th International Conference on WT1 in Human Neoplasia
Place of Presentation
KBS Kyoto Hall, Kyoto, Japan
Year and Date
2015-11-19 – 2015-11-20
Int'l Joint Research
-
[Presentation] 神経膠腫に対するWT1ペプチドワクチン療法の新展開2015
Author(s)
橋本 直哉, 坪井 昭博, 香川 尚己, 千葉 泰良, 木嶋 教行, 木下 学, 有田 英之, 平山 龍一, 永野 大輔, 高野 浩司, 福屋 章悟, 福永 貴典, 岡 芳弘, 尾路 祐介, 杉山 治夫, 吉峰 俊樹
Organizer
第74回日本脳神経外科学会学術総会
Place of Presentation
ロイトン札幌
Year and Date
2015-10-14 – 2015-10-16