2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト先天性側弯症の原因遺伝子の同定と発症機序の解析
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25462286
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飯塚 伯 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90334119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 先天性側弯症 / 遺伝子解析 / Ishibashi rat / Kyphoscolisis rat |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性側弯では椎骨形成異常や脊椎分節異常がみられるが、病因は不明である。病巣部位における遺伝子発現解析を行うことで、疾患関連遺伝子の同定を本研究の目的とした。ヒトにおける先天性側弯症は症例数そのものが少ないことに加え、その中でも手術などの侵襲的処置が施行される例は限られている。研究に十分な数の試料をヒトから収集する作業を継続しつつ、先行研究から先天性側弯の優れた動物モデルと報告されているIshibashi ratsを用いて、動物実験により疾患関連遺伝子の詳細な解析を行ってきた。性別や年齢などの条件を統一させて疾患群と正常群の比較を行うことで、異常な形態に特に関与する遺伝子を同定することができた。 DNAマイクロアレイを用いたスクリーニングから、神経成長因子受容体遺伝子(Trk)群およびレチノイン酸代謝関連遺伝子群が特に強く発症に関わると考え、リアルタイムPCRやウエスタンブロット、免疫染色などによる多方面からの解析を行った。Trkについては、リアルタイムPCRによりモデルラットで発現低下していることを確認し、さらにタンパクレベルにおいても有意に発現低下していたことから疾患に大いに関与している可能性を裏付けた。さらに、レチノイン酸代謝関連遺伝子群においても、モデルラットで発現が低下していることをリアルタイムPCRにて確認できた。また、脊椎の免疫染色にてTrk発現細胞を調べたところ、モデルラットでは肥大軟骨細胞周囲にて陽性細胞数が有意に少ないことがわかった。 Trkの全身における動態を調べるため、代表的な腹腔内臓器である肝臓での遺伝子発現をリアルタイムPCRにより調査し、疾患群と正常群の間で有意な差がないとの結果を得た。すなわちモデルラットの疾患発症は全身的な遺伝子発現異常ではなく病変部位に局在的な遺伝子発現異常が関与していることが示唆された。
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