2015 Fiscal Year Research-status Report
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25462349
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小西 英一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50186714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 昭夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30137963)
冨田 裕彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 病理学部門, 主任部長 (60263266)
眞能 正幸 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), EBM研究開発部, 研究員 (10183956)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原発性骨腫瘍 / 軟骨芽細胞腫 / 病理組織像 / 放射線画像 / 統計解析 / 予後予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度及び次年度で行った軟骨肉腫解析に続き、中間悪性群に分類される軟骨芽細胞腫を解析した。関西骨軟部腫瘍研究会の7施設から供出された頭蓋骨以外に発生した軟骨芽細胞腫103例について、年齢、性別、発生部位、手術術式、画像情報、予後など臨床的な情報を登録し、また各症例について病理組織スライドを検鏡し、その代表スライドについてscore化した9項目の病理学的所見情報を登録した。同時に放射線画像を読影し、6項目の所見情報を登録した。それらを統計解析ソフトで解析し、転移・再発予想に有意な臨床病理学的所見の抽出を試みた。 103例の内、男性は80例、女性は23例で、平均年齢は19.6歳であった。好発部位は大腿骨45例、脛骨15例、踵骨13例、膝蓋骨・上腕骨それぞれ10例の順であった。放射線画像では、辺縁硬化像や石灰化がしばしば見られ、また病理組織像では未熟な軟骨基質や分裂像、chicken wire calcificationが多く認められた。術式としては掻爬術が大半であった。平均追跡期間は53.5カ月であり、再発率は15.5%であったが転移例はなかった。 再発に関与する因子を探すべく単変量解析すると、16歳以上の年齢、放射線画像で確認される嚢胞性変化、病理組織において強拡大10視野あたり2個以上の分裂像の3つの所見に有意差が見られた。また再発例の平均年齢は16.6歳であったが非再発例の20.1歳に比して有意に若かった。またlog-rank法を用いて非再発生存率をそれぞれの項目ごとに比較すると放射線画像で確認される嚢胞性変化のみが有意差のある所見であった。しかし多変量解析(Coxハザード解析)を行うと有意な所見は抽出できなかった。 以上より、軟骨芽細胞腫の再発因子を統計学的に見出すことが出来なかったが、我が国においては転移例は見られず、同腫瘍はより良性の振る舞いをする腫瘍と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、2年度で行われた軟骨肉腫の統計学的解析に手間取ったため、本来次年度で行うべき検討が、3年度に持ち越された。膨大なデータの不慣れな統計解析に時間がかかった他、多施設間研究のため、14施設で倫理委員会審査を受ける必要があり、そのすべてが合格してから、論文作成・発表を行ったため時間がかかった。幸い投稿論文は無事acceptされた。 2年度に原発性骨腫瘍全般に対する包括的病理組織学的研究について京都府立医科大学の倫理委員会から承認を得たうえで、本研究(軟骨芽細胞腫)に着手し、症例数をある程度集めることが可能と予測できた6施設(京都府立医科大学以外)に同様の包括的研究の倫理委員会申請を行ったため時間がかかり3年次に食い込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は軟骨芽細胞腫の研究結果を論文とするとともに、原発性骨腫瘍の中間悪性群の代表的腫瘍である骨巨細胞腫の研究を推し進めたい。骨巨細胞腫の転移・再発予測因子は明らかでなく、病理組織像、放射線画像、術式、補助療法など、多方面にわたる情報を数値化し、多変量解析により転移・再発予測因子を抽出する。骨巨細胞腫は軟骨芽細胞腫に比べ、発生頻度が高く、少なくとも200例を目標として、多施設に病理組織所見および画像情報所見の登録をお願いしたい。 既に数施設にはデータベース検索の打診済みで、また昨年次にすでに包括的研究の倫理委員会承認を複数の施設で得られており、軟骨芽細胞腫研究の論文化と同時に進めたい。
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Causes of Carryover |
研究の質を保つために必要十分な原発性骨腫瘍を確保するため、他施設に協力をお願いした。その結果症例供出に代表者施設の倫理委員会での承認が必要となり、それを元に協力施設の各倫理委員会で承認を受ける必要があった。それらの手続きに予想以上に時間がかかった。また最初に取り組んだ軟骨肉腫のデータが膨大で、統計処理に予想以上に時間がかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在解析の済んだ軟骨芽細胞腫の論文投稿に取り組むとともに、同様に骨原発の中間悪性群で、その転移・再発因子を予想することの難しい骨巨細胞腫について、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫と同様に病理組織学的所見、画像所見、手術主義などの因子について客観的統計学的解析を行い、転移再発予測因子を抽出したい。 上記目的のため、論文投稿料、症例収集費、学会発表旅費などに予算を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Primary central chondrosarcoma of long bone, limb girdle and trunk: Analysis of 174 cases by numerical scoring on histology2015
Author(s)
Konishi E, Nakashima Y, Mano M, Tomita Y, Nagasaki I, Kubo T, Araki N, Haga H, Toguchida J, Ueda T, Sakuma T, Imahori M, Morii E, Yoshikawa H, Tsukamoto Y, Futani H, Wakasa K, Hoshi M, Hamada S, Takeshita H, Inoue T, Aono M, Kawabata K, Murata H, Katsura K, Urata Y, Ueda H, Yanagisawa A.
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Journal Title
Pathology International
Volume: 65
Pages: 468-75
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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