2015 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いた新生児低酸素性虚血性脳症分子病態解明
Project/Area Number |
25462553
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小島 俊男 豊橋技術科学大学, 健康支援センター, 教授 (00311340)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疾患動物モデル / 新生児低酸素性虚血性脳症 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)は、成熟児出生時、長時間の血流停止による低酸素、脳虚血により惹起される疾患である。近年、HIE病態解明のためラットの片側頸動脈を結索し、低酸素暴露したHIEモデル動物が開発された。これまで頸動脈結索対側での遺伝子発現は、研究対象とされていなかったが、我々の研究では、慢性期結索対側の変化も重要であることが示唆されている。そこで本研究では、HIEモデルラット大脳皮質の急性期頸動脈結索対側の遺伝子発現変化の解明を目指し網羅的遺伝子発現解析実験を行った。 結索対側では、障害後1時間には、炎症関連遺伝子が多数発現増強しており、多くは、障害24時間後に発現レベルが減少するが、細胞性免疫関連遺伝子の一部は、発現増強状態が継続していた。結索側では、それらの炎症関連遺伝子全般が24時間後も発現増強していた。結索対側1時間後に発現増強し24時間後発現が減少する遺伝子の内、成長因子関連遺伝子は、結索側では、発現低下していた。 結索対側で障害後24時間にも多くの免疫関連遺伝子が発現増強していたが、それらの多くは、1時間後に発現変化はなく、結索側で発現増強がより顕著であった。また、24時間後発現減少遺伝子には、神経系発現遺伝子が多く、これらは、結索側でも発現低下が見られた。 以上の結果から、HIEモデル動物では、障害後1時間では、全脳性に炎症反応が惹起され、結索側では、その多くが24時間後も継続するが、結索対側では、消失する。ただし、結索対側において細胞性免疫に関与する反応は、24時間後も継続し、1時間後には見られなかった免疫反応の中には、24時間後に惹起されるものもある。また、結索対側においても障害後24時間後に神経障害が一部進行していることなどを示唆するものと考えられ、同疾患モデルにおいて、頸動脈結索対側も重要な解析対象であると考えられた。
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