2013 Fiscal Year Research-status Report
絨毛膜羊膜炎におけるプロカルシトニンの変動と周産期領域における意義の解明
Project/Area Number |
25462566
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
金子 政時 宮崎大学, 医学部, 教授 (40264387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昌俊 宮崎大学, 医学部, 講師 (90174630)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 絨毛膜用膜炎 / プロカルシトニン |
Research Abstract |
臍帯血および新生児プロカルシトニン値と絨毛膜羊膜炎との関連を明らかにすることを目的として、データ集積と中間解析を行った。その結果、現時点で以下のことが明らかになった。 1.臍帯血プロカルシトニン値は、絨毛膜羊膜炎の炎症の強を反映して有意に高値となることが判った。2.臍帯血プロカルシトニンは妊娠週数が早いほど高くなる傾向があるものの妊娠週数による有意な差はなかった。3.病原微生物によって臍帯血プロカルシトニン値は異なった変動を示す可能性がある。即ち、カンジダ胎内感染では強い絨毛膜羊膜炎の所見があるにも関わらず臍帯血プロカルシトニン値は低く、逆にインフルエンザ桿菌では、絨毛膜羊膜炎の程度が軽くても臍帯血プロカルシトニン値が高値を示した。4.胎児低酸素血症があると絨毛膜羊膜炎の所見がなくても臍帯血プロカルシトニン値が高値を示す症例があった。 絨毛膜羊膜炎は早発型新生児敗血症の危険因子のひとつとして重要である。その観点から臨床上、臍帯血プロカルシトニンは、絨毛膜羊膜炎を病理診断が出される前に予測できる可能性を示した事は意義のある結果であると考えている。一方、最終目的である臍帯血プロカルシトニンを用いた早発型新生児敗血症の診断基準値を作成するに当たっては、上記で示したように、妊娠週数、病原微生物の種類、胎児低酸素症の有無が臍帯血プロカルシトニン値に影響を及ぼす可能性があり、診断基準値の作成にあたっての留意点であることを明らかにした。この点は、今後の研究の方向性が判り意義あるものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早発型新生児敗血症の危険因子のひとつとして重要な絨毛膜羊膜炎を、臍帯血プロカルシトニン値を参考にすることにより、病理診断が出される前に予測できる可能性を示した点と臍帯血プロカルシトニン値を臨床応用する際の留意点を明らかにした点では、本年度の成果は得られたと考えている。しかしながら、本年度の成果を学術的に確かなものであることを確認するためには、登録症例数のさらなる集積が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果をより確実にするためには、登録症例数をさらに増やす必要がある。現在、症例登録対象施設は3次施設である大学附属病院のみであるが、これを2次施設まで広げて症例の集積を図る。 早発型新生児敗血症の危険因子のひとつとして重要な絨毛膜羊膜炎を妊娠中に予測し、母児にとって有益な娩出の時期を決定できたら臨床上有意義である。この点から、母体血プロカルシトニン値と臍帯血プロカルシトニン、母児の臨床所見との関連に関しても検討していく予定である。 本年度に挙げた臍帯血プロカルシトニン値の臨床応用における留意点を明らかにするためには、検体採取の対象を広げる必要がある。例えば、胎児低酸素症との関連を明らかにするために、胎児低酸素症例数を増やすこと、低酸素ストレスからプロカルシトニン値が上昇するまでの時間を考慮して、新生児採血の対象日を広げる必要がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度であったため、倫理委員会への申請手続きや検体採取のための準備に手間がかかり、採取検体数が予定していた数より少くなった。そのためにPCT、IL-6、IL-8を測定する機会が減り、消耗品費として計上した額より実際に使用した額が少なくなった。 次年度は、今年度にPCT、IL-6、IL-8の測定のために使用しなかった検体に加えて、協力施設からの採取検体数を増やして当初予定より多くのELISA用試薬を使用する。また、今年度に後方視的に得られた成果から、臨床上の有益性を示すためには、臍帯血だけでなく、羊水や母体血のプロカルシトニン値を測定する必要性が判った。従って、今年度は、対象検体を広げる予定である。また、今年度に得られた成果を学術論文に発表する予定である。
|
Research Products
(5 results)